仏像は単独で祀られることもありますが、多くは三尊形式で祀られています。なぜ三尊形式が主流になったのでしょうか。三尊形式の場合、左右の脇侍は「慈悲」と「智慧」を表しています。つまり、「慈悲」と「智慧」が特に大切であるので、三尊形式が主流になったと考えます。

先月、瀬戸さんの講演会で、近年の教育では「仁」の大切を主に教えるが、「義」も大切であるという話を聞きました。「慈悲」と「仁」は共に他者への慈しみ、思いやり、情けを意味しています。

では、「智慧」と「義」はどうでしょうか。辞書によると、智慧とは

 空(くう)など仏教の真理に即して、正しく物事を認識し判断する能力。これによって執着や愛憎などの煩悩を消滅させることができる。

とあります。

「義」とは
 人のおこないが道徳・倫理にかなっていること。
とあります。

よって、「義」とは
 智慧に基づいて、正しい行いをすること。
とも言えると思います。

ですので、「智慧」と「義」は密接な関係にあると考えます。

「慈悲」が強調され、叱ることを良しとしない意見もありますが、やはり、良くないことに対しては、はっきりと叱るべきです。但し、「良くないこと」の判断が大切です。一般に「自分に都合の悪いことを良くないこと」と考えがちですが、自分の立場から見た良い悪いではなく、仏の立場から見た良い悪いで、物事を判断することが大切です。その為の智慧です。
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