東京国立博物館に入るとまずは本館に行き、ミュージアムシアターの予約をしました。私は「東大寺法華堂 国宝 不空羂索観音立像 宝冠」を見たかったのですが、無事に15時50分の回を予約することが出来ました。
そして、特別展が開催されている平成館に行くと「本日、再入場可能」とありましたので、15時50分までには時間がありますので、特別展を観賞することにしました。
第一章「東大寺のはじまり」は、瓦などの出土品の展示ですが、東大寺の建立前にその地にいくつかのお寺があり、それが統合され金光明寺となり、大仏が造られ始めて、金光明寺が東大寺と呼ばれるようになったという歴史は知りませんでした。
第二章「大仏造立」では、まず「金光明四天王護国之寺」と書かれた西大門勅額がありました。周りに八体の仏像がいらっしゃる額で、近くで拝観できて良かったです。
国宝の誕生釈迦仏立像及び灌仏盤は、見慣れている誕生仏に比べて、随分大きな像でした。灌仏盤も皆さん、熱心に見ていましたが、今一良く分かりませんでした。しかし、隣にモニタを使った案内があり、灌仏盤に描かれているものが紹介されており、それを見た後、もう一度、灌仏盤を見ると良く分かりました。
八角灯籠を最初に見て感じた印象は「大きい」でした。東大寺に訪れた時に何度も見ているはずなのにその大きさを改めて実感しました。また東大寺を訪れた時は早く大仏様にお会いしたいのでじっくり見ることはなかったのですが、今回ゆっくり拝観する機会に恵まれ、音声菩薩の素晴らしさが分かりました。
良弁僧正坐像は、まるで生きているように感じる像で、周りに大勢の人がいても、まっすぐ一点を見つめているその姿に意志の強さを感じました。
僧形八幡神坐像は今回の展示で一番拝観したいと思っていた像でした。滅多に御開帳しないので、色彩も綺麗に残っています。良弁像は人間の像という気がしましたが、八幡像はまさに神の像だという印象を受けました。360度から拝観できるので博物館も良いですが、八幡像は是非、東大寺でお会いしたいものです。
ここで、ミュージアムシアターの時間になりましたので、一旦、外に出て、資料館に移動しました。不空羂索観音の宝冠はたくさんの宝玉がつけられた大変美しいものであり、他にこのような宝冠はないので、大変不思議なものでもあります。
シアターでは細かい部分まで詳細に見れ、とても良かったです。特に実際には見ることが出来ない宝冠の中に入って宝冠を見渡す映像が良かったです。その映像を見た時、たくさんの宝玉が繋がっているのは、まさに華厳の世界
「世界に存在するあらゆるものは、何一つとして孤立して存在しえず、密接な相互依存関係のうえに成り立っている」
を表しているのだと思いました。
シアターを見た後、再び平成館に戻り、VRシアターを見ました。映像も綺麗で、楽しめました。
第三章「天平の至宝」では、二月堂本尊光背が展示してありました。光背には仏が描かれており、隣にあったモニタによる案内によると、千手観音が描かれているそうです。二月堂のご本尊は十一面観音像なのに何故光背には千手観音が描かれているのか不思議です。
また、不空羂索観音像の光背も展示してありました。光が中心から出ているような光背は良かったですが、やはり、ご本尊あっての光背だと思います。
第四章「重源と公慶」では、重源上人坐像を拝観しました。重源像は今年の四月に東大寺でお会いしましたので、少し懐かしい気がしました。年老いたその姿は非常に写実的で、まさに重源上人がそこに座っているような気がしました。
公慶上人坐像はNHKの歴史秘話ヒストリアで見て、ずっとお会いしたと思っていた像です。お顔を見ると、やはり左目が赤く充血していました。これは不眠不休で全国を歩き回って、疲れがたまっている姿を表していますので、重源、公慶の両上人には本当に感謝ですね。
また公慶上人は手の印が少し変わっており、胸の前で両手を握り合っています。どうして、このような印にしたのか気になります。
快慶作の阿弥陀如来立像、地蔵菩薩立像も展示されていました。両像とも本当に美しい像です。こういう像を拝観すると自然と手を合わせてしまいます。
五劫院の五劫思惟阿弥陀如来坐像も展示されていました。その姿は本当にインパクトのあるものです。しかし、快慶の美しい仏像を見た後だったので、どうしても比較してしまい、あまり印象に残らなかったのは私の未熟なところです。
鑑賞していると、「東大寺僧侶による夜のお話が六時から大講堂」で行われるという館内放送がありましたので、会場に行き、聴講しました。講師は東大寺の狹川普文(さがわふもん)さんで、おもしろく話をして下さり、あっという間の一時間でした。
話の内容では東大寺が福祉療育病院も経営しているとは知りませんでした。聖武天皇、光明皇后の精神を受け継いでの活動だそうで、大寺社のあるべき姿だと思いました。
奈良六大寺の方は、定期的に集まり、奈良の観光を如何に良くしようと相談しているそうです。景観を保存しなければいけないのでなかなか気づかないですが、東大寺も少しずつ確実に良くなっていることが話を聞いて分かりました。
今回の展示は東大寺を学ぶスタートで、近々オープンする東大寺総合文化センターで続きを学べる機会を設けるそうです。
今回の特別展を観賞し、東大寺がますます好きになりました。来年も必ず東大寺を訪れ、色々なことを学びたいと思います。

カテゴリ
タグ