今回の「信濃の美仏とお社巡り」ツアーで最初に訪れたのは長野県岡谷市にある照光寺です。到着するとお寺の方が参道入口から丁寧に説明してくれました。

参道沿いの蚕霊供養塔(さんれいくようとう)は蚕(かいこ)の霊を慰め、蚕糸業の発展を祈るため、多くの方から浄財を得て、昭和9年に建立されたものです。蚕の霊を供養する塔はおそらく世界で一つしかないであろうと話されていました。本尊は蚕の神様である馬鳴菩薩(めみょうぼさつ)で、毎年4月29日に御開帳されるそうです。馬鳴菩薩という仏さまは聞いたことがなかったので、興味深く話を聞きました。

境内には守屋貞治作の石仏が祀られていました。案内板には「佉羅陀山地蔵尊」と書かれており、「佉羅陀山(きゃらだせん)」とは何か分かりませんでしたが、ネットで調べると“地蔵菩薩が住む浄土”のことだそうです。これは覚えておかなければいけないことですね。

お地蔵さんの石仏は半跏思惟の形をしており、珍しいなと思いました。地蔵菩薩の御真言「オンカカカビサンマエイソワカ」の話があり、「カカカ」の三文字は、菩薩、縁覚、声聞を表しているという内容が印象に残りました。



薬師堂でお参りをして、本堂内へ。堂内の右部屋は江戸時代に殿様が来た時に使う部屋だったそうです。中央には本尊の大日如来像、脇侍として、不動明王、愛染明王像が祀られていました。胎蔵界大日如来像は「信州の仏像」という本の表紙を飾っているそうです。左の部屋には仁王像が祀られていました。元々は照光寺の仏像ではなく、川に流されて来たそうです。その時、仁王像はそれぞれが2つ、合計4つに割れており、下諏訪に四王(しおう)という地名が今も残っているそうです。

本堂での拝観が終了して、本坊に移動しましたが、こちらから見る庭園はとても素敵でした。時間があれば、お茶でも飲みながらゆっくりたたずんでいたかったです。



次は光明閣へ移動。こちらではチベット仏画が印象に残りました。お寺の方がチベット仏画の正統継承者だそうで、とても素晴らしいものでした。これほどのチベット仏画が観られる場所は日本では他にないかも知れません。六道が描かれた画では、天上界の天部と修羅界の阿修羅が戦闘している場面が描かれていたのが印象に残りました。

智拳印の大日如来像は左手の人差し指を右手で握っていますが、左手は衆生、右手は仏、人差し指は「地水火風空」の風で呼吸すなわち命を表していますので、智拳印とは衆生の命が仏と繋がっていることを意味しているそうです。この話も印象に残りました。

照光寺はどのようなお寺なのか事前知識がありませんでしたが、今回初めて訪れて、素晴らしいお寺だと思いました。各地方には素晴らしい寺社があることを実感できるのがこのツアーの良い点だと思います。
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