曾子が著した「大学」は、大人(たいじん)の学、すなわち人によい影響を及ぼす人物となるための教えを示したものであります。
その冒頭は、「大学」の三綱領といわれる有名な一文から始まります。
「大学の道は、明徳を明らかにするに在り。民に親しむに在り。至善に止まるに在り」
最初の「明徳を明らかにする」は、三綱領の一番の根幹です。人間には、生まれながらにして徳性が授けられており、素直な心でこの天から与えられている徳性を発揮していくことが大切だということです。
徳には見える徳と見えない徳があります。木の根は地中にあって直接見ることはできませんが、非常に大きな役割を持っています。
見えないところで大きな働きをしている徳を玄徳といい、表に現れた徳を明徳といいます。ですから人間も、立派に成長していくためにはまず根をしっかりと養わなければなりません。
しかしながら、人間の明徳にはしばしば「我」という霧や、「私」という雲がかかります。我や私を少しでも薄くしていくよう努めて、太陽がはっきり見えてくるように明徳を明らかにしていかなければなりません。
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徳には、玄徳と明徳があるとは知りませんでした。玄徳があってこその明徳ですね。「我という霧」、「私という雲」の例えは非常に分かり易いです。毎日少しずつでもいいですから、明徳を明らかにしていきたいですね。
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