菩薩の展示では、左手に閉じた蓮の花を持ち、右手は阿弥陀如来のように輪っかを作っている聖観音菩薩像が展示してありました。以前から何故、聖観音像なのに阿弥陀如来のような印をしているのだろうと不思議に思っていましたが、これは閉じた蓮の花を開こうとしているところを表しているのだそうです。閉じた蓮の花を開くとは悟りを得ることなので、悟ろうとしている菩薩を表しているのだと分かりました。このことを知っただけで展示解説に参加したかいがありました。
頭の真ん中に筋のようなものが入っている地蔵菩薩像が展示してあり、以前から何故そのような筋が入っているのか不思議に思っていました。これは関東大震災の時に破損して修復をしたのですが、その時使用した薬品が変色して、このようになっているのだそうです。
天部の展示では、今回の展示では仏像の位順に、如来→菩薩→明王→天部と展示していますが、ある本には、如来→菩薩→天部→明王と書かれていたという質問を受けたという話がありました。「如来→菩薩→天部→明王」は、日本に入ってきた順番を表しているそうです。天部は法隆寺の四天王が一番古い像ですが、明王像が日本に入ってきたのはそれよりも新しいのだそうです。
十王図が展示されていましたが、画と像の違いの説明もありました。画は、一つの画の中にストーリーを描けることが特徴で、今回の十王図も裁判の場面から刑を受けている場面までが描かれており、像でこれらを表すのは大変だと話されていました。
鎌倉国宝館に訪れたことのある方ならば、人頭杖が展示されているのを見たことがあると思います。私も何度も見ていますが、今回の説明で、男性の頭が火を吐けば有罪、女性の顔が蓮の花を吐けば無罪との話があり、興味深かったです。
今回の展示解説は30人ぐらいの方が集まり、熱心にメモをとる人が何人もおり、本当に仏像ブームなんだなと感じました。
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