展示室は全部で7つあるのですが、展示室4の「奈良の古寺と仏像1(東大寺、西大寺、唐招提寺、薬師寺)」、展示室7の「奈良の古寺と仏像2(長谷寺、室生寺、当麻寺、橘寺、法隆寺、大安寺、秋篠寺、元興寺)」が一番印象に残りました。
東大寺は、まず四天王像が展示されていました。なかなかカッコイイ表情をしていました。二回目の蒙古襲来の際の敵国調伏のために造られた像だそうです。
そして、五劫思惟阿弥陀如来像です。近くで拝観するとやはり迫力があります。私は音声ガイドを借りましたが、案内で「昔の人々はその姿を見て、神秘的でありがたがいと思った」とあり、確かに人間の知恵でははかり知ることの出来ないものを五劫思惟阿弥陀如来像からは感じます。
西大寺は、塔本四仏像として、宝生如来、「阿あしゅく如来、釈迦如来、阿弥陀如来の4体が展示されていました。4体の内、2体は東京、奈良国立博物館がそれぞれ管理しているので、4体そろうのは20数年ぶりとのことです。
宝生如来は、阿弥陀如来の説法印のような印相をしていましたが、親指と薬指で輪っかを作っているのが阿弥陀如来との違いなのかなと思いました。
唐招提寺は、赤童子像が印象に残りました。春日明神の姿だそうで、初めて赤童子の像というのは初めて拝観したような気がします。
薬師寺は、弥勒菩薩坐像が良かったです。遠くから見た時は宝冠をかぶっていたので大日如来像かと思いましたが、弥勒菩薩像でした。たしかに印相は大日如来のものとは大きく違っていましたが、では、この像の印相が弥勒菩薩のものなのかと聞かれたら、分かりませんと答えるような珍しい印相でした。
私の前で拝観していた人はこの像と長い間対面していたので、多くの人から良い仏像と思われる像なのだと感じました。
室生寺は、国宝の釈迦如来坐像が展示されていました。今回の展示の期間は7月7日から9月20日までですが、早い時期に来たのは、この釈迦如来像の展示が7月25日までだったからです。国宝らしい完璧な如来像のように感じました。今回のように近くで拝観できるのが、美術館で展示される場合の利点ですね。
橘寺は、伝日羅像が展示されていました。橘寺は訪れたことがなく、日羅像も初めて拝観しました。もっと言うと日羅という人が何者かも知りませんでした。案内によると、日羅は百済王に仕えた日系人で、聖徳太子の仏教の師だそうです。
像は僧侶、あるいは地蔵像として作られたと考えられているそうですが、髪の境を強調している点などが他の像とは違うので、伝日羅像と言われるようになったのでないかと案内にありました。
法隆寺は、有名な夢違い観音像が展示されていました。展示会のポスター等にもこの像の写真が使われています。観音様らしいとても優しい顔をされています。「何時間でも対面していたい」、そんな仏像です。
元興寺は、聖徳太子像が展示されていました。五千人の結縁によって造られた像だそうで、五千人の思いが感じられる像でした。
もう一体、如意輪観音像も展示されていました。こちらの観音像も美しく、長時間、拝観していたい像でした。
今回、初めて三井記念美術館を訪れましたが、とても気持ちの良い美術館でした。展示内容も良いし、多くの人にお勧めできる展示会です。

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