福島天満宮では「心のかがみ」として、明治天皇の御製が紹介されています。福島天満宮を訪れた時はいつも掲示されている御製を読むのを楽しみにしています。今回は以下の二つの御製が解説されていました。

むらぎもの心の限りつくしてむ
わが思うこと成るもならずも

「むらさきもの」は「心」を言い出す為の枕詞。およそ、世の中の事は成功するかしないかやってみなければわからぬものである。二の足を踏んでばかりでは進歩がない。検討に検討を重ねて「よし、これなら…」と見極めがついたら、全身全霊、全力を挙げて人事をつくし、誠心誠意、いわゆる「天命を待つ」のみである。

さかしきも愚かもあれど人毎に
もたまほしきは誠なりけり

世の中にはなかなか賢しく利口に世を渡る者も多いが、いかに賢明利口であっても誠心誠意というものが欠けているとむしろ甚だ賤しむべきものと言わねばならず、生来、愚鈍の者であっても、幸いに誠意があれば大いに尊むべきものというべきで、人の善悪鑑別の唯一の標準は誠意の有無にあると言える。自分を省みてどうかを考えよう。人としてあらねばならぬのは一に「誠意」という事である。
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