昨年参加した仏像フォーラムが楽しかったので、今年も行ってきました。といっても、私は抽選に外れてしまい、友人が当選したので、何とか参加できました(250人が参加できますが、500人の応募があったそうです)。

今回の内容は
・高幡不動尊・川澄祐勝貫主による法話
・画僧である牧宥恵さんによる「写仏とは?その心」
・宮澤やすみさん、仏像ガールさん、青木淳さんによる「パネルディスカッション・多摩の仏像を語る」
・一般参加の仏像好きによる「おすすめ仏像プレゼンテーション『マイ仏論』」
です。

川澄貫主の話では
・高幡不動尊は一年中楽しめ、命の洗濯ができるお寺である。
・あじさいの時期にはのべ20から25万人が訪れる。
・今の時代は「褒めて育てる」など褒めることだけが大切なように言われているが、叱ることの大切さを知って欲しい。
などが印象に残りました。

また、仏像フォーラムということで不動明王像の話もあり、
・関東地方の丈六仏(平安時代・重文)
(1) 中禅寺の観音菩薩像
(2) 妙楽寺の大日如来像
(3) 宝城坊の阿弥陀如来像
(4) 高幡山の不動明王像

・日本全国の丈六不動明王像(平安時代・重文)
(1) 京都・同聚院の不動明王像 (265.1cm)
(2) 九州・竜岩寺の不動明王像 (283.01cm)
(3) 宮城・大徳寺の不動明王像 (265.1cm)
(4) 東京・高幡山の不動明王像 (285.8cm)
の紹介があり、
高幡不動三尊は両童子像が不動明王像より古く、不動明王像より先に両童子像を造ることはおそらくないので、不動明王像は新しく造り直されたものではないかと考えられているそうです。またこんなに大きな両童子像は他にないそうです。

牧宥恵さんの話では
・仏像、仏画を用いて仏の教えを(衆生に)伝えようとするのは密教だけである。
・写仏をするのに絵心はいらない、仏心が必要。
・写経は「一字一仏」、写仏は「一線一仏」。
・仏様の顔はその国の風土によって変わる。→日本の仏像は日本人好みの顔になるように彫られる。
・写仏は自分の心をみること。
などが印象に残りました。牧さんはユーモアを交えながら話され、ご本人もおっしゃっていましたが持ち時間30分では短く、もっと長く話を聞きたいなと思いました。

仏像フォーラムの会場の隣の部屋で「多摩の仏像写真展」が行われており、その写真をもとに「パネルディスカッション・多摩の仏像を語る」が行われました。
・青木先生は写真の中から神奈川県伊勢原市にある大山寺の不動明王像にそっくりな不動明王像を紹介しました。大山寺の不動明王は江戸時代には大層信仰されており、そのコピーが多摩地区に祀られたのだろうと紹介していました。たしかに写真の不動明王像は大山寺の不動明王像に似ています。事前に写真展を見ていましたが、言われるまで全然気づきませんでした。

・仏像ガールさんは大山寺で聞いた不動明王に関する次のような話を紹介してくれました。
 蓮華の花の上に乗っている仏像があるが、不動明王は頭の上に蓮華の花がある。それはその蓮華の花の上に我々衆生を乗せるためである。
 そこに座れるように衆生は不動明王が左手に持つ羂索をつたって上る。上りきったならば、次は不動明王が左側に垂らしている髪の毛をつたって上り、そして、蓮華の花の上に座る。
 不動明王は怖い顔をしているが、我々衆生を蓮華の花に座れる(仏になれる)ように助けてくれる心優しい仏様である。

不動明王の頭の上にある蓮華の花に乗るのは我々衆生だと知っていましたが、羂索や左側に垂らした髪の毛の上述したような解釈は初めて聞き、とても為になりました。私はこういう話が好きです。

最後は一般の仏像好きな方による「マイ仏論」でしたが、今年も熱い話を聞くことができ、とても楽しめました。

来年も是非、参加したいです。

高幡不動のあじさい
高幡不動境内のアジサイです。今年も綺麗に咲いていました。
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