6月6日に奈良寺社散策の中で最も印象に残ったのが奈良市押熊町にある常光寺です。常光寺では歓喜天像が年に一度だけ6月6日に特別開扉されます。お寺で歓喜天像を拝観したことのある人は少ないというか、ほとんどいないと思います。私もこの日訪れるまではありませんでした。

しかし、博物館では拝観したことがあります。鎌倉国宝館、神奈川県立金沢文庫の展示で拝観しました。その時はもちろん歓喜天像を拝観した驚きはありましたが、「歓喜天=ガネーシャ」で、ガネーシャはヒンズー教では人気のある神様なのでインド料理店などによく置かれており、それらの像を見るのと近い印象を持ちました。よって、今回も同じような印象を持つかなと思っていましたが、全然違い、凄いパワーを感じました。

常光寺に到着すると受付で拝観料300円を払いました。御朱印も頂けるということでもう300円払おうとすると、なんと値段は100円でした。100円でしたので、朱印だけかなと思いましたが、達筆な字で「大聖歓喜天尊」と書かれていました。

歩を進め、お堂に上がります。お堂でも歩を進め、奥に向かいました。すると、円筒形の厨子が開扉されており、その中に黄金の歓喜天像が安置されていました。その姿はとても衝撃的で、何はともあれ手を合わせました。今まで多くのお寺をめぐって、扉が固く閉ざされた歓喜天厨子を何度も見ています。私にとって、歓喜天厨子は閉じられているのが当たり前の存在でした。それが今、扉が開かれ、中に歓喜天が祀られています。これぞ、以前記事に書いた非日常的な光景の中に見る仏様です。この感動は何度もお寺にお参りして、その光景を目に焼き付けている人しか分かりません。すっかり感動して、歓喜天像を眺めているとお寺の方が諸像の説明を始めてくれました。

そうです、歓喜天像ばかり書いていましたが、堂内の奥にはそれ以外にもたくさんの像がが祀られていました。まずは本尊の不動明王三尊からです。その説明を聞いていましたが、ここで団体客が到着。狭い堂内があっという間に満員電車並みの混雑になり、お寺の方も説明を止め、団体客からの色々な質問に対応し始めました。

こうなったら仕方ありません。お寺の方の説明を聞くのは諦めて、各像の拝観をすることにしました。不動三尊の左隣に安置されているのは菩薩のような感じでしたが、どなただか分からなかったので札を見ると随求菩薩像で、凄いと思いました。

そして、愛染明王像、大黒天像。大黒天像はいわゆる走り大黒像でした。大黒天像の隣には、鬼子母神像と弁才天像。鬼子母神と弁才天像はどちらも艶かしい美しさがありました。

鬼子母神像の前に小さな像があったので顔を近づけると摩利支天像で、またまた凄いと思いました。弁才天像の前にも小さな像がありました。こちらも顔を近づけてみると狐に乗っています。そうです、荼吉尼天像でした。この時点であまりの衝撃にクラクラになりました。

弁才天像の隣には毘沙門天像が安置されていましたが半跏像で珍しいと思いました。受付で頂いた案内によると伝運慶作だそうです。

満員の中を戻って、次は不動三尊の向かって右側に祀られている像の拝観です。吉祥天像、十一面観音像、阿弥陀如来像、地蔵菩薩像、如意輪観音像、大日如来像、普賢菩薩像、地蔵菩薩像、地蔵三尊像(?)、四天王像とこちら側も凄いです。

ここで一旦、奥の部屋から出て、別の部屋に行くとそこにはたくさんの画が掲げられていました。しかし、残念ながら部屋は団体の人が着座してお寺の方の話を聞いており、近くで画を拝観することはできませんでした。

私としてはもう少し滞在したかったのですが、この後、秋篠寺に行く予定があり、かなり混雑が予想されましたので、泣く泣く常光寺を後にしました。

来年の6月6日も常光寺を訪れ、今度はお寺の方の説明を受けながら拝観したいと思います。


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