6月5日に奈良県葛城市にある当麻寺を訪れましたので、その時の話を書きたいと思います。
当麻寺(當麻寺)の中之坊で當麻曼荼羅絵解きを拝聴するためには通常、団体予約をする必要があります。ですので、以前から拝聴したいと思っていてもなかなかその機会に恵まれませんでした。しかし、今回の平城遷都1300年祭における東塔・西塔特別御開扉に合わせて、予約なしで個人でも拝聴できる機会がありましたので、それに合わせて、当麻寺を訪れることにしました。

近鉄当麻寺駅で下車し、しばらく歩くと当麻寺に到着しました。絵解きが始まる時間まで少し時間がありましたので、まずは中之坊を拝観しました。



中将姫の守り本尊である導き観音像が祀られている中将姫剃髪堂があり、そこでは導き観音結縁御開帳が行われていました。結縁御開帳ということで結縁綱を握ってお参りが出来るようになっていましたので、結縁綱を握って、お参りをしました。

導き観音像は右手に錫杖を持つ長谷寺式観音像で、お堂に上がって近くで拝観することができました。観音像は中将姫を導くために動き出そうとしている寸前の姿を表しているように感じました。堂内には様々な仏像が安置されていましたが、右壇には大和十三佛の弥勒菩薩像が祀られており、こちらの像を拝観できたのも嬉しかったです。

次は大和三名園の一つに数えられる庭園「香藕園」を散策しました。中将姫ゆかりのお寺なので、咲いている花々が優しく感じられ、それらを見ているとこちらも優しい気持ちになりました。

霊宝館では鎌倉時代に作成された現存する最古の當麻曼荼羅の写本が展示されていました。中将姫展ということで、他にも中将姫剃髪像、中将姫絵伝などがあり、見応えがありました。

そして、写仏道場である「絵天井の間」に着座し、絵解きです。まずは当麻寺の歴史を聞きました。当麻寺は本来は弥勒菩薩を本尊とするお寺で、入口は南側にあった。しかし、當麻曼荼羅が本尊になると、入口が東側になった。
→当麻寺を訪れたことがある人は分かるでしょうが、確かに金堂、講堂の入口は南から入れるように造られています。當麻曼荼羅は阿弥陀如来のいらっしゃる西方を向いて拝めるように東側が入口になっています。

当麻寺は拝観者によって魅力が違う。
一つ目は、奈良時代の東塔、西塔。
 東塔、西塔は薬師寺にもあるが、西塔は昭和時代に造られたもの。東大寺も東塔の再建を発表したが、奈良時代の東塔、西塔があるのは当麻寺だけである。

二つ目は金堂の仏像。
 四天王像は法隆寺のものに次に古いものである。その次は東大寺の四天王像で、法隆寺、当麻寺、東大寺の四天王像が日本三大四天王像である。
→「日本三大四天王」は初めて聞きました。Googleで検索しても具体的な名前は出ていないので、一般的ではないと思います。

絵解きで使用する當麻曼荼羅は平成5年に作成された。いくら法話が上手い人でも極楽浄土を説明するのは難しい。そこで絵が作られた。

歴史を聞いた後、絵解きが始まりました。中之坊のホームページには

 當麻寺伝統の「絵解き」には一部に独特の節回しがついており、別名「絵解き節法会」とも呼ばれております。この「節」が伝わっているのは中之坊だけです。他の寺院や会場にて、「絵解き」として曼荼羅の解説が行われる場合がありますが、古来より伝わる当山の伝統の「絵解き」とは異なるものですのでお間違えのないようにご注意ください。

と書かれており、とても楽しみにしていました。絵解きを拝聴して、確かに當麻曼荼羅についてはかなり理解できました。しかし、節回しがついているのはほんの少しで、その点はガッカリしました。また、時間も短いと思いました。歴史、絵解き、絵天井の説明で30分ぐらいで、一時間ぐらいあると思っていたので、正直、もう終わりかと思ってしまいました。

絵天井に関しては、一つだけ絵ではなく、極楽の「極」という字がはめこまれていたのが印象に残りました。

絵解きが期待とは少し違っていたので微妙な気持ちで中之坊を後にしようとしていると受付に蓮花ちゃんが座っていました。その姿を見ると元気になりました。後で蓮花ちゃんのプロフィールを見ると特技は「会った人を元気にすること」とあり、本当にその通りだなと思いました。


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