薬師寺といっても当然のことながら、奈良の薬師寺ではありません。山形県南陽市にある薬師寺の話です。

お寺に到着すると薬師堂に向かいましたが、広くて立派な境内です。薬師堂の中に入ると中央にお前立ちの薬師如来坐像が安置されていました。お前立ちといっても、製作時期が平安時代末期から鎌倉時代初期頃と考えられている藤原様式の像です。地方仏というよりは中央で造られた像のように感じました。

御本尊は、淡い青と赤の二色の色を放つ石仏薬師如来像です。しかし、秘仏ですので、拝観することはできませんでした。脇侍として、不動明王、毘沙門天が祀られており、天台密教の祀り方ですね。

左右の壇には十二神将像がそれぞれ六体ずつ安置されていましたが、こちらは地方仏という感じでした(地方仏が悪いという意味で書いているわけではありませんので)。印象に残ったのは右壇に安置されていた不動明王像です。顔が削られてありませんでした。おそらく廃仏毀釈によるものだと思いましたが、そのようになった像でも大切に祀っているのは好感が持てました。

お寺の方の話によると、薬師寺は円仁が東北巡錫のおりに開山したお寺で、山寺(立石寺)と同じぐらい歴史のあるお寺だそうです。知らないだけで、そのようなお寺がまだまだたくさんあるのだろうなと思いました。

薬師堂拝観の後は本堂内も拝観させてもらいましたが、堂内はとても心地の良い空間でした。境内は新緑のモミジが綺麗で、時間さえあれば堂内に座ってゆっくりしたい気分でした。堂内にあった額には

見えなくともお花を供えたい
食べなくとも美味を供えたい
聞こえなくとも話しかけたい
佛の前にぬかずくこころ (注:ぬかずくとは、額を地面につけて拝むこと)
見えざるものへの奉仕
その心に人間がある

は読んで、その通りだなと感じました。

バスに乗って帰る時、手を振って見送ってもらい、気持ち良く、お寺を後にしました。
カテゴリ
タグ