月刊致知7月号に掲載されている伊與田覺さんの巻頭の言葉より。

成人という言葉には、二つの意味があります。一つは成年に達する、大人(おとな)になるという意味。もう一つは下から読んで、人と成る、立派な人間になるという意味です。

大人(おとな)になるという意味での成人は、特別な努力をしなくても、日本では二十歳になれば誰もがなれます。しかし人と成るためには努力が要ります。

人間は、神仏と動物の中間に存在し、その両方の特徴を備えています。ですから神仏と動物、どちらの方向に向かって努力をするかによって、同じ人間でも全く逆の方向に進んでいくわけです。

論語に
・人間の性質は生まれた時にはほとんど差がないけれど、学びによって大きく隔たってくる
・人間の賢さ、愚かさは教育に左右される。必ずしもその人の環境や貴賎などに左右されるものではない
という言葉があります。

人と成るためには、人間が生まれながらにして与えられている徳性を育成する学問が必要で、これを人間学といいます。これに対して、知識、技術を習得するための学問を時務学といいます。

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太字で書いた部分が良いですね。心に響きました。神仏の方向に向かって、日々、ゆっくりとしかし確実に歩み続けたいものです。
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