歴史民俗資料館を出ると渡岸寺へ。本堂の左前に拝観受付所があり、そこで拝観料を払って、収蔵庫に入りました。中に入ると観音像を前にして、団体の方を相手に説明の方が説明をしており、私は少し離れたところに座って話を聞こうとしましたが、「どうぞ、こちらに」と言うことでしたので、観音像の前に移動し、話を聞きました。

話の中で、「『よく観音様は男性ですか、女性ですか』と聞かれます。観音様に性別はありません。この観音像は、女性の姿を借りた観音様です」と言われていました。私も以前、同じ質問をされたことがあり、その時、観音様は相手に応じた姿で現れると言ったことを思い出しました。渡岸寺の十一面観音像は女性として現れるのが最適である人々を救おうとしている時の一瞬の姿を彫刻したものですね。

また、一般に仏像は乾燥してひび割れが起こりますが、渡岸寺の観音像は内刳り(うちぐり)がされている、つまり、仏像の内部が空洞になっているので木割れがないそうです。渡岸寺の観音様がとても美人に感じるのは木割れによるひびがないのも理由の一つなのでしょうね。

話が終わり、観音像の周りをぐるっと一周しながら、拝観しました。団体で来ていたならば、これで出発というところですが、今回は個人で来ていますので、その後、説明の方の話をもう二回聞くまで観音堂におり、観音様と心ゆくまで対面していました。

湖北は観音像も素晴らしいですが、説明をする人も素晴らしいと思います。今回の説明の方からも観音像に対する思いが伝わってきました。高月町が「観音の里」と言われるのは渡岸寺の観音様を始めとして、素晴らしい観音像が数多くあるからですが、観音様のように素晴らしい人がいることからも「観音の里」と呼ばれるのだと思いました。
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