まずは蛸薬師堂を訪れました。賑やかな通りから狭い参道に入り、少し歩くと本堂に着きました。お堂の中には厨子に入った薬師如来像、その前にお前立ちの形でもう一体の薬師如来像、日光、月光菩薩像、十二神将像が祀られていました。
厨子の扉が開かれ、その中の薬師如来像がいらしたので、御開帳しているのかと思い、お寺の方に伺うとご本尊は石仏で、お堂に祀られている像とは別なのだそうです。そこで、ご本尊が御開帳される年を伺うと、次は平成28年だそうです。
境内には他のお寺ではお目にかかることができないであろう、お賓頭盧タコ(びんずるたこ)もありました。
また、お寺の方に寅歳に御開帳される薬師如来の話をするもご存じではなく、寅薬師という言葉を出すと、「寅薬師さんはお隣です」と言われる始末で、京都では寅歳に薬師如来像を御開帳するという習慣はないと感じました。
ところでなぜ蛸薬師という名前なのか。
昔、この寺に善光という僧が住んでいました。ある時、母が病気になり、母は「子供のときから好物だった蛸を食べれば病が治るかもしれない」と善光に告げました。
善光は僧侶の身で蛸を買うことを躊躇していましたが、箱を持って市場に出かけ蛸を買って帰りました。これを見た人々は僧侶が生魚を買ったことに不審を抱いて、寺の門前で箱の中を見せるように言いました。
善光は薬師如来に「この蛸は母の病気が良くなるようにと買ったものです。どうぞ、この難をお助け下さい」と祈って箱を開けると蛸は八軸の経巻となり、霊光を四方に照らしました。
それ以来、蛸薬師堂の蛸薬師様と呼ばれるようになりました。
カテゴリ
タグ