本日、金沢文庫の開催されている「特別展 金沢文庫の絵画」に訪れ、2時からボランティアガイドの方の解説のもと、展示を拝観しました。金沢文庫の絵画となっていますが、金沢文庫が称名寺から借りている絵画を紹介した展示会です。

入ってすぐの場所に不動三尊と普賢菩薩の絵画がありました。これらは江戸時代の作で色も綺麗に残っています。今回の展示は鎌倉時代と江戸時代のものが半々ぐらいあるのですが、鎌倉時代のものは色が薄くなっているので、まず江戸時代のものを見て、絵画にはこのような色が着いているということを理解して欲しいとのことでした。

不動明王は今でも広く信仰されていますが、不動信仰が広まったのは元寇がきっかけだそうです。元が責めてきた時に異国降伏の祈祷を全国の寺院で行いましたが、その時の御本尊が不動明王で、それにより不動信仰が全国的に広まったそうです。

称名寺は真言律宗のお寺なので、弘法大師の絵画が展示されていました。展示されているものは全部で4点ある弘法大師像の中で一番古いものだそうです。
また、隣に理源大師像が展示されていました。理源大師は醍醐寺の開山なので不思議に思ったのですが、称名寺は醍醐寺の法流と関わりが深いそうです。

真言律宗の中興の祖である興正菩薩(叡尊)の絵画がありました。叡尊は当時の仏教界が堕落していたので、「釈迦の時代に戻れ」と戒律の重要性を説いたそうです。
その隣に忍性菩薩の絵画がありました。「頭頂が尖り、鼻を大きく赤く表している」のが特徴だそうで、忍性はきっとそのような身体的特徴があったのだと思います。

鑑真和上とお寺では伝わっている絵画もありました。唐招提寺の有名な鑑真和上像の姿とは随分違いますが、耳にイヤリングのようなものをしているので、外国の僧侶の姿を写したものだそうです。鎌倉時代の作ですが、色が綺麗に残っています。よって、鎌倉幕府がかなりのお金を出して作成した絵画ではないかと考えられているそうです。

僧形八幡神の絵画もありました。鎌倉の中心である鶴岡八幡宮は八幡神を祀っているので、僧形八幡神の絵画はたくさん残っていると思いがちですが、あまり残っていないそうです。今回の絵画は鎌倉地方で一番古い僧形八幡神像だそうです。

十二神将の絵画が二幅あり、十二神将を一幅に一尊ずつ描いた絵画は称名寺にあるものだけだそうで、なぜ作成されたかは分かっていないそうです。理由はともかく、絵画は十二神将らしく、とてもカッコいいものでした。

涅槃図もありました。鎌倉時代の作で、鎌倉時代のものとしては関東で一番大きいものだそうです。こちらの涅槃図の特徴は
・普通は地面にいる迦陵頻伽が空を飛んでいる
・猫が描かれている
・摩耶夫人が天から降りてくる姿だけでなく、お釈迦様の足元にも描かれている
ことです。

猫が描かれた涅槃図を見たいとずっと思っていましたが、今回初めて拝観することができました。中国から経典を持ってくる際に経典をネズミにかじられないようにネコを船の中で飼っていたそうです。そのネコが横浜の金沢地区に住み着き、金沢猫と呼ばれていたので、涅槃図にもネコが描かれているのではと話されていました。

弥勒菩薩の絵画もありましたが、一見したところ、観音様のようにも思えます。しかし、左手に持った蓮の上に五輪塔があるので、弥勒菩薩だそうです。

今回の展示はボランティアガイドの方のおかげで新しい分かったこともあり、とても有意義でした。


タグ