私は十七条憲法の中でも十条の文面が好きです。
(十条の訳)
心中の憤りをなくし、憤りを表情に出さず、他人が自分と違ったことをしたとしても怒ってはならない。人それぞれ価値観が違う。相手がよいと思っても自分はよくないこともあるし、自分がよいと思っても相手がよくないと思うこともある。自分が必ず聖人で、相手が愚かということはない。共に凡夫なのだ。これが良い、悪いと誰が定められるというのか。誰もが賢くもあり愚かでもある。それは耳輪、即ち輪に切れ目がないのと同じなのだ。相手が憤っていたら、自分が間違いではないかと恐れなさい。自分はこうだと思っても、皆に従って行動しなさい。
「自分はこうだと思っても、皆に従って行動しなさい。」という言葉はいかにも主体性がないように響きますが、組織で仕事をする以上、時には意見が合わないこともあるでしょう。そのような場合、自分の意見が正しいとして遮二無二通そうとするのではなく、時には一歩引いて皆の意見に耳を傾ける謙虚さも必要になります。どんな折にも、独断は避け、共に取り組む心構えを忘れてはならないというのです。
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