序章では、魔女仰臥図が印象に残りました。チベットの大地には魔女が横たわっている伝承があるそうで、その魔女の手足を押さえる釘として、寺院を建てたそうです。
第一章「仏教文化の受容と発展」では、まず最初にある弥勒菩薩立像から日本のそれとはかなり違うので驚きました。その後の釈迦如来立像もマントをかぶったようで、日本のものとはかなり違う印象を受けました。また、1メートル程の祖師像が五体ありましたが、どれも印象深かったです。
第二章「チベット密教の精華」では、展示室の中央に十一面千手千眼観音菩薩立像が安置されていました。実際に手が千本あり、このような素晴らしい像を見ると自然と手を合わせてしまいます。
カーラチャクラ父母仏立像も別の部屋の中央に展示されていたほど、素晴らしい仏像でした。方便(慈悲)の象徴である男尊(父)と空の知恵(般若)の象徴である女尊(母)が抱き合う像は日本ではまず見ることはないので、とても印象深かったです。
マハーカーラ立像(日本では大黒天)、マーリーチー騎猪像(日本では摩利支天)も展示されており、やはり、日本のものとは印象がかなり異なりました。
そして、階段を上り、次の展示室に移るとそこにターラー菩薩が展示されていました。日本ではほとんど信仰されていないが、チベットでは多くの人々に信仰されているターラー菩薩。観音菩薩が右目から流した涙から白ターラー菩薩が生まれ、左目から流した涙から緑ターラー菩薩が生まれました。観音の救いから漏れた衆生をも救済する女神です。
白傘蓋仏母立像も非常に印象に残る仏像でした。頭、手、足がたくさんあります。湖北の千手千足観音像のモデルは白傘蓋仏母立像なのではないかと思いました。
今回の展示会は政治的には色々問題があるようですが、美術展としては非常に素晴らしいものでした。

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