月刊誌致知11月号にグラミン銀行総裁のムハマド・ユヌスさんの対談が掲載されていました。ユヌスさんは2006年にノーベル平和賞を受賞されたそうですが、記事を読むまではどういう方か全然知りませんでした。

ユヌスさんは世界最貧国といわれるバングラデシュの方で、大学の教授として経済学を教えていました。ところが1974年にバングラデシュで大飢饉が起こり、教室を一歩外に出ると至る所に餓死者が溢れている状態でした。ユヌスさんは自分が教えてきたことから解決の糸口を見出そうとしましたが、見つかりませんでした。

ある日、美しい竹の椅子を作っている女性に出会いました。その椅子は非常に美しく、そのような製品を作り出している彼女がなぜ貧しいのか、疑問を持ちました。話を聞くと、彼女の収入は2セントで、僅かな材料費を購入するお金を高利貸しから借りていたため、収入の殆どが利払いにあてられていました。

そこで、貧しい人々が高利貸しに依存しない方法を色々行いましたが、既存の銀行が貧しい人にお金を貸すことを渋るので、最後には自分でグラミン銀行をつくりました。貧しい人々を対象としたグラミン銀行は現在、バングラデシュにある7万以上の村で業務を行っています。

非常に大まかですが、以上のような体験をしたユヌスさんの言葉です。

 私は様々な経験をした後に「すべての人間は無限の可能性に満ちあふれている」という確信を持つに至りました。すべては自分自身の内にあるのです。ただその扉を開ける「機会」がなかっただけなのです。
 社会は個人が秘めている素晴らしい能力を発揮する機会を与えなければなりません。そうすれば、人々は自分がこんなにも素晴らしい能力を持っているのかと驚くことでしょう。そしてその能力をもっと発揮したいと思うようになり、その過程において自分自身を次第に発見していくのです。人生とは自己発見の連続なのです。

ユヌスさんのような体験をした人の言葉は非常に説得力があります。対談の相手である志ネットワーク代表の上甲さんは「ユヌスさんの哲学、そしてそれを具体的な形にしていく実践活動に日本の国の進むべき道が示唆されている」と言っていますが、私も
 社会は個人が秘めている素晴らしい能力を発揮する機会を与えなければなりません。
の箇所はそのように感じました。
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