・医王寺
寺社めぐりの感想を書く時、書きやすい寺社と書きにくい寺社があります。医王寺は良い意味で書きにくいお寺でした。「東高野山」という山号から分かるように医王寺は一度の訪問で理解できるようなお寺ではありませんでした。今回訪れたお寺の中でもう一度訪れるとしたら、医王寺を一番に挙げます。

お寺に到着し、仁王門まで歩くとご住職さんがおられ、そこからお寺の案内が始まりました。医王寺は関東平野の終わりの場所に位置するので、徳川幕府も江戸防衛の観点から非常に重要視したそうです。お寺の廻りには空堀の跡があり、修験道の結界を意味しているそうです。

仁王門の仁王像は鎌倉時代に造られ、慶派らしい写実的な仏像でした。最近、仁王さんの本が出版され、そこにも紹介されているそうです。1797年に造立されたお地蔵さんの露仏の説明の後、工事中の金堂を周りを回って、境内奥に進みました。
そして唐門を拝観しましたが、あまりにも立派な唐門でビックリしました。日光東照宮の陽明門の写しだそうです。そのような立派な唐門が許されたことから、徳川幕府が医王寺を重要な防衛拠点と考えていたことが分かるそうです。


唐門


唐門の細部

大師堂に移動し、弘法大師像が安置されている厨子の扉をご住職さんに開けて頂きました。弘法大師像と目が合う場所が一箇所だけあり、全員、そこに座って、大師像にお参りをしました。弘法大師像は意志の強い、自信満々の表情でした。今まで拝観した弘法大師像の中でも一、二を争う強い印象を受けました。


大師堂

次は講堂に移動し、お前立ちの大日如来像に全員がお参りをしました。智拳印を組んでいる大日如来像は、不動明王などの別の仏様に変化する直前の姿を表しているそうで、仏像は止まっているように見えるが動きがあるそうです。


講堂

奥の部屋に移動し、そこに安置されている仏像などを拝観し終わったあたりで時間切れとなりました(次のお寺の拝観予約時間をかなり過ぎていた)。全然気付きませんでしたが、医王寺に到着してから随分時間が経過していました。ご住職さんの話は興味深く、時間が経つのを忘れていました。

今回訪問するまで医王寺というお寺のことは知りませんでしたが、関東にもまだまだ知らない立派なお寺がたくさんあるんだなと思いました。だから、お寺めぐりは楽しいんですね。


帰り道において、露仏のお地蔵さんを見るとまるで草の雲に乗っているように見えました。
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