西大寺は名前が意味するように東大寺と並ぶ大寺院でした。東大寺は今でもたくさんの観光客が訪れる大寺院ですが、西大寺は東大寺ほど参拝者が訪れるお寺ではありません。しかし、真言律宗の総本山ですので、是非、訪れたいお寺の一つです。

本堂、愛染堂、四天堂を参拝できる共通券がありましたので、それを購入し(800円)、まずは本堂から拝観しました。

本堂には、御本尊の清涼寺式釈迦如来立像が祀られていました。近くによって拝観すると、まっすぐ遠くを見つめているようでした。その表情から、熱心にお参りする人の声を真剣に聞いているように感じました。

御本尊の左隣には文殊菩薩騎獅像が祀られていました。文殊菩薩像はたいへん美しく、獅子像も大きくて立派でした。「日本三大文殊」というのがありますが、日本三大文殊を選ぶとしたら、間違いなく選ばれる文殊菩薩像です。

像の前には、「うさぎの眼」の善財童子を紹介する記事がありました。善財童子を見ると確かにうさぎの眼のようなで、けがれのない、純粋な眼をしていました。善財童子を見ていると自分自身にあるけがれが浄化されていくような気がしました。

文殊菩薩騎獅像の左側には、弘法大師像と興正菩薩像が安置されていました。最初は弘法大師像を立って拝観していたのですが、像を見ていると「この像は座って拝観すべきである」と感じ、座って拝観しました。
座ると、弘法大師像と目が合うようになります。やはり、仏像は座って見上げることを想定して造られていると思います。見上げた弘法大師像はとても力強く感じました。

興正菩薩像は最初から座って拝観しました。おだやかな表情で「何でも話してみなさい」と言っているように感じました。

御本尊の右隣には大きな仏像が安置されており、どの仏様か分からなかったのですが、案内によると弥勒菩薩だそうです。像高286センチの仏像で、立ったり、座ったりしながら拝観しましたが、やはり、座って拝観するのが一番でした。

次は愛染堂です。愛染堂・本尊の愛染明王像は秘仏の為、1/15から2/4、10/25から11/15しか直接拝観できませんが、それ以外の時は全く同じように模刻されたお前立ちの愛染明王像を拝観できます。

厨子の前に安置されたお前立ちの愛染明王像以外にも、厨子の左右にはそれぞれ二体ずつ愛染明王像が祀られていました。

お堂の左側には興正菩薩像が祀られていました。この像は80歳になられた興正菩薩が一年でも長生きするように祈って造られたそうです。良い話ですね。

お堂を出る時に「厨子の扉に描かれている方はどなたですか」と聞いたところ、赤童子(春日大社の神様)と雨宝童子(伊勢神宮の神様)だそうです。興正菩薩は神仏習合の考えで、曼荼羅が入った厨子を背負って伊勢神宮に良くお参りしたそうです。
その後、しばらく、お寺の方と神仏習合について話をしました。昔のようにお寺の中に神社があり、神社の中に仏様を祀るお堂がある状態に戻るのは難しいでしょうが、個人的には少しでもその状態に近づければ良いなと思います。

最後は四天堂へ。中央に藤原時代作の長谷寺式十一面観音像が祀られていました。高さは6.38メートルあり、大きく立派な観音像でした。
長谷寺式観音像の特徴は、
(1) 右手に錫杖を持っている
(2) 台座(蓮華座)が方形の大盤石を台座である
点です。長谷寺式と呼ばれる観音像は全て(1)は満たしていますが、(2)は満たしていない像も多々あります。西大寺の長谷寺式観音像の足元を見ると、きちんと方形の大盤石が台座になっていました。

十一面観音像の前には不動明王立像が安置されていました。よく見ると両目の黒目の大きさが左右で違いました。右目の方が黒目の部分が大きいです。

また四天堂という名前の通り、四天王が祀られていました。共通券には十一面観音立像の写真が印刷されていたのですが(印刷されていた写真はこちらで見られます)、お堂に祀られている観音像とは随分違った印象を受けました。そこでお寺の方に尋ねてみました。

すると、観音像は35年程前までは秘仏だったそうで、写真はその当時に撮られたものだそうです。その後、18日に護摩を焚くようになり、像が護摩の煙で黒くなり、写真の像と印象が違うようになったのだそうです。また、西大寺の観音像は左手の水?にある蓮が花が開いていることが特徴だそうです。この点は説明を受けるまで気が付きませんでした。

不動明王像が観音像の前に置かれているのは火除けの意味もあるそうです。四天王に関しては、増長天の邪鬼のみが天平時代の作だそうです。また多聞天以外は銅製で、多聞天は左膝の下半部を除き、木製だそうです。

西大寺で素晴らしいと思ったことはお寺の方が質問をすると親切丁寧に説明してくれることです。このようなお寺は本当に有り難いですね。正直に書くと最初は拝観料800円は高いかなと思っていたのですが、全然そんなことはありませんでした。


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