展示は内容、質とも大変満足できるものでした。私は午後三時頃に入館したのですが、内容・質が立派な為、見るのに時間がかかり、最後の方は急いで見てしまったので、これから行く方は時間に余裕を持って入館されることをお薦めします。
展示は8つのテーマからなり、1つ目は「聖地を行き交う人・もの」でした。ここでは、一乗寺所有の国宝・最澄像が良かったです。以前から一乗寺の最澄像は見てみたいと思っており、今回、初めて実物を見ることが出来ました。
2番目のテーマは「阿育王寺 仏舎利への崇敬」です。こちらに清凉寺釈迦如来像が祀られていました。ガラスケースなど無く、身近に拝観することができました。ぐるっと周りを一周することは出来ませんでしたが、横から像の後ろ姿を拝観することができました。横から見ると像はかなり細い印象を受けます。180度、色々な角度からお顔を拝観し、どの角度が一番良いか考えていましたが、どの角度も甲乙付け難かったです。
清凉寺釈迦如来像の納入品も展示しており、その中では水月観音鏡像が良かったです。
阿育王寺の仏舎利はアショーカ王が建立した八万四千の仏舎利の一つとされるので、銀阿育王塔など素晴らしい塔が展示されていました。
国宝・藤原道長経筒もあり、道長直筆の法華経は見た人は皆、「道長直筆」ということに驚いていました。もちろん、私も驚きました。
3番目のテーマは「延慶寺」です。左手を挙げ、右手を下げる逆手来迎印をした阿弥陀如来立像は初めて見ました。
涅槃図が二幅展示されていましたが、中国で描かれてものですから日本のものとは随分違っていました。最初のは陸信忠筆で、動物がいない、描かれている人物は十大弟子(?)だけ、沙羅双樹が一組だけでした。二つ目のは人物が台座の周りには9人しか描かれていなく、もう一人はどうしたのだろうと思って見ていると摩耶夫人を迎えていく姿が描かれていました。
また十王図もあり、16日に閻魔様めぐりでお寺を訪れた時に得た十王図の知識が役に立ちました。
4番目のテーマは「補陀山」です。こちらに楊貴妃観音坐像が展示されていました。三尊形式のように展示されており、向かって右が韋駄天、左が月蓋長者(げつがいちょうじゃ)でした。
観音坐像は玄宗皇帝が亡き楊貴妃の冥福を祈って造顕された像であると言われていますが、分類的には楊柳観音だそうです。清凉寺釈迦如来像と同様に身近で拝観することができ、お寺で拝観した時よりも大きく感じました。「ただただ美しい」、それ以上の感想はいらないと思います。
楊貴妃観音坐像の反対側の壁に水月観音像のような仏像が展示されていたので近くによって見ると、横須賀・清雲寺の滝見観音像でした。昨年の十月に横須賀で拝観して以来の再会です。十月に拝観した時、お寺の方が博物館などで展示される時は滝が彫られた箇所は展示されないと言っていましたが、その通りでした。やはり、滝がないと滝見観音像の良さが伝わらない気がしました。また、お寺では見上げて拝観、つまり目線より像の方が上にあったのですが、今回の展示では立った状態ですと目線より像が下に位置するので、それもマイナスかなと思いました。仏像は基本的に全て前に座って見上げるように拝観することをイメージして造られていると思います。
5番目のテーマは「五台山の五百羅漢」です。こちらの展示の五百羅漢図は本当に見応えがありました。
6,7,8番目のテーマは時間がなかったので、駆け足での拝観となり、その後、常設展も急いで拝観しました。奈良博の常設展も見応えがあります。
「特別展 聖地寧波」はお薦めの展示ですよ。

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