昨日、高幡不動尊金剛寺で開催された仏像フォーラムに参加しました。高幡不動尊では6月1日から30日まで不動明王展が開催されています。その一環として、仏像に詳しい著名人を集めたカルチャーイベント「仏像フォーラム」が開かれました。

まずは高幡不動尊の貫主の方から高幡不動尊の不動明王像に関するお話しがありました。高幡不動の不動三尊像は平安時代に造られた丈六仏で日本一の不動三尊と言われているそうです。平安時代の丈六不動明王像は全国に四体あるそうですが、他の三体は丈六仏を造れるような有力な後援者がはっきりしています。一方、高幡不動三尊像に関しては平安時代の多摩地域に有力な豪族がおらず、誰が願主かまだはっきりと分かっていなかったそうですが、現在は武蔵七党の一つである西党高幡氏が確実とされているそうです。

不動明王像以外の話では、
・高幡不動尊は一年中楽しめるお寺である。今の季節はアジサイが綺麗に咲いているが、秋には紅葉が綺麗である。京都、奈良にも負けない紅葉の美しさで、もしそうでないと思うならば、私(貫主)に言いに来て欲しいとここ数年話しているが、未だに言いに来た人はいない。
・高幡不動尊は拝観料を取っていないので、気楽に訪れて欲しい。命の洗濯ができるお寺を目指している。
のような内容が印象に残りました。紅葉の時期に高幡不動尊に訪れようと思います。

次は「不動明王像に秘密に迫る」というタイトルで多摩美術大学の青木淳さんが講演をされました。ゆっくり、丁寧に話をなされ、公開講座などがあれば、受けてみたいなと思いました。
話の中では不動明王は顔は怒っているけれども、体だけ見れば、如来と同じである。この点からも不動明王が大日如来の化身であることが分かるという箇所がそのような観点で見たことがなかったので、なるほどと思いました。

次は「仏像についてのパネルディスカッション」というタイトルで、宮澤やすみさん、仏像ガールさん、青木淳さんが話をされました。皆さん、話がとても上手で、仏像が大好きだということが伝わってきました。話の中で響いた言葉を以下に挙げてみます。

・自分の心の状態で仏像から受ける印象が変わってくる
 これは私もそのように思っているので、そう感じている人が結構いるのだと思いました。

・仏縁とは仏様を思う人が繋がる縁でもある
 仏縁の本来の意味は仏様とお参りした人の間に結ばれる縁です。私自身、お寺めぐりをしているうちにたくさんの仏様と仏縁を結べましたが、同時に多くの人とも知り合うことができました。よって、仏縁には仏様を思う人が繋がる縁という意味もあると本当に実感しています。

・ホルマリン漬けのように守られている仏像
 「仏像は人が手を合わせてこそ価値がある」と感じている私にとって、美術館などで100%美術品として展示され、誰にも手を合わされない仏像は正にホルマリン漬けにされているのと同じだと思います。

・日常生活の中に当たり前のように仏様がいる
 大阪へ出張に行った時にはいつも太融寺に立ち寄っていますが、多くの方が出勤途中に足を止めて手を合わせています。本当に日常生活の中に溶け込んでいます。多くの人にとって、日常生活の中に当たり前のように仏様がいる環境になれば、日本はもっと良い国になると思います。

最後は一般参加者による「おすすめ仏像プレゼンテーション」でした。企画された方が一番心配したセッションだそうですが、とても良かったです。一般の方の「○○を拝観して、ただただ感動した」という飾り気のないシンプルな感想も心に残ります。企画された方もこのセッションをメインにすれば良かったかもと言うほどでした。宮澤さん、仏像ガールさん、青木さんの適切なコメントも大変良かったです。

今回初めて「仏像フォーラム」を開催したそうですが、とても楽しい企画でしたので、是非、来年も開催して欲しいです。




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