鎌倉国宝館では毎年四月下旬から五月にかけて特別展「鎌倉の至宝」が実施されます。案内には、
 年に一度の開催となるこの展覧会では、鎌倉の美術・文化の豊かさを再認識していただくため、国宝・重要文化財を中心とする代表的な収蔵品のほか、普段は社寺等に収蔵されて拝観のできない優品なども特別公開いたします。
と書かれています。

今年度の展示のメインは、光触寺の本尊で運慶周辺の作とみられる阿弥陀三尊像が修理後に初公開されることです。阿弥陀如来像は頬焼阿弥陀の通称で親しまれており、頬焼阿弥陀縁起絵巻も同時に公開されています。

鎌倉国宝館での話の前に頬焼阿弥陀の由来について簡単に書きます。
 昔、ある家に町の局という女性が住んでおり、阿弥陀如来の像を大切にしていました。またこの家には万歳という法師も住んでいました。ある日、物がなくなり、町の局は万歳が盗んだと思い、家人に命じて万歳の頬に焼印を押しました。その夜、町の局の夢に阿弥陀如来が現れ「なぜ私の頬に焼印を押したのですか」と泣きながら言いました。町の局はびっくりして阿弥陀如来の像を見に行くと頬に焼印の後がありました。町の局は阿弥陀如来が身代わりになって万歳を救ったと思い、万歳を許し、阿弥陀如来の像を本尊とするお寺を建立しました。

鎌倉国宝館に到着すると、「鎌倉の名宝 一挙大公開」と大きく書かれた案内が掲げられていました。



受付で拝観料500円を払い、中に入ります。平常展で展示されている仏像を拝観しながら歩を進めると、五島美術館に展示されている愛染明王坐像が展示されていました。鶴岡八幡宮にあった愛染堂の本尊だった像です。大きく、立派な仏像で、関東地方にある愛染明王像の中では一番良い仏像と言っても構わないと思います。

宝冠釈迦如来坐像が展示されていたのですが、そこの案内には、
 宝冠をかぶる姿は本来は華厳宗の教主である毘盧遮那仏を示すが、禅と華厳の融合により、禅宗寺院でも尊ばれた。
と書かれており、なるほどと思いました。

そして、いよいよ阿弥陀三尊像です。等身大ぐらいの大きさを想像していたのですが、それよりも小さな仏像でした。
阿弥陀三尊を拝観すると、どうしても阿弥陀如来像の頬に目がいってしまいます。阿弥陀像は上半身の金箔がほぼ取れて黒い地肌が現れており、頬の部分はノミの跡のようなものが残っています。よって、焼印というか火傷の跡のようなものが残っているように見えました。

後で拝観した絵巻によると、
・左の頬に火印が押された
・阿弥陀像の火印の跡を修理させたが、仏師が金箔を貼ってもすぐに剥落し、火印を消せなかった
そうです。

阿弥陀如来像だけに目が行きがちですが、脇侍の観音、勢至菩薩像も良い仏像です。頬焼阿弥陀の伝説がなくとも、注目された仏像だと思います。
「鎌倉の名宝 一挙大公開」ということで、他の展示も見応えがありました。展示は5月31日までですので、お時間のある方は行かれることをお薦めします。
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