松原泰道さんの「日本人への遺言」という本を買いました。松原泰道さんは101歳になられた今でも自己を磨く努力を日々実践している禅僧です。
本では、100の為になる話が紹介されています。その中から印象に残った話を紹介します。

仏教には煩悩を断滅しなさい、なくす努力をしなさいという教えがあると多くの人は思っていますが、そうではありません。
断滅という訳は中国で漢訳された時の表現であり、現代の意味で解釈すると「コントロールする」にあたります。

生きている限り煩悩は絶対になくなりません。煩悩はなくならない、しかし、コントロールすることはできるのです。

嫉妬やねたみが生まれた時、その感情をそのままストレートに爆発させてはいけません。嫉妬心が起こった時、それを奮発心に変えることができれば、前向きに生きていくことができます。つまり、マイナスをプラスにコントロールすることができれば、それは生き甲斐になり、人生を生き抜く大切な栄養になります。

お釈迦様が農夫と話をした時、農夫は「雑草は引き抜いてしまえばただの雑草だが、土に踏み込んでいけば大事な肥やしになる」と言いました。それを受けてお釈迦様は「煩悩も同じこと。捨てることはできないし、捨ててはいけない。煩悩も全て自分自身に組み入れ、正しく生きるための肥やしとしなさい」と言いました。

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煩悩はなくならない、しかし、コントロールすることができる。そして、それをより良く生きる肥やしとする。日頃心がけておきたい言葉です。
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