涅槃図には薬袋のようなものが描かれています。私の記事の涅槃図の沙羅双樹にある画像では、一番左の枯れた沙羅の木に薬袋のようなものが描かれています。

この薬袋に関しては、
 (画の右上に描かれている)摩耶夫人はお釈迦様を助けるために天から薬袋を投じました。しかし、沙羅双樹の枝に引っ掛かってしまい、届きませんでした。
という解説が広く知られています。

しかし、大法輪の4月号の記事「涅槃図を読む」によるとこの解説は江戸庶民が考え出した話で仏典にはないのだそうです。私はすっかり上の薬袋の話を信じていましたので、驚きました。

薬袋のように見えるのは、本当は法衣、鉢、錫杖です。枝に掛かるそれらを見て、摩耶夫人は「今、これらの仏の持ち物は残りて、その主なし」と嘆かれますが、その時、お釈迦様は金棺より身を起こし,母のために説法したそうです。これを描いた釈迦金棺出現図が京都国立博物館にあるそうです。

涅槃図のような仏画には色々なことが描かれていますが、画に描かれていることの知識があると仏画を見るのが楽しくなります。
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