数年前、午後から大阪で用事があるので、時間のある午前中を利用して京都で寺社巡りをしました。しかしその日は大雨で平日の午前中、有名寺社を巡っている訳ではないということもあり、寺社巡りをしている方をほとんど見かけませんでした。

 ある神社でお参りをし、次の神社に向かって歩いている途中、後ろから「すみません」と声をかけられました。私はこのような大雨の中、後ろに誰か歩いているとは全く思っていなかったのでびっくりしました。後ろを振り向くとある方が「落ちましたよ」と江島の妙音弁天様のお守りを渡してくれました。私は「ありがとうございます」といい、お守りを受け取りました。受け取ったお守りはカバンなどに引っ掛けるヒモの部分が切れていました。

 私は「後ろに人がいて本当に良かった」と思いました。その人と私以外はこの大雨の中、近くを歩いている人は見かけませんでした。もしその方がいなくてそのまま歩き続け、後で無くしたことに気付いたならば「江島の妙音弁天様とはご縁がなかったのか」とネガティブに考えていたと思います。

 人がいたのは偶然かもしれませんが、私は弁天様のお守りが、お守りが落ちたら人に教えてくれるような親切な方が来るまでがんばってカバンにつかまっていたのではないかとポジティブに考えました。そのお守りは二度と落ちたら嫌なので新しいヒモはつけずに、カバンの中にしまって、寺社巡り旅行の時は一緒に旅をしています。
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