2月15日はお釈迦様が亡くなられた日で、多くのお寺でお釈迦様が入滅された時の様子を描いた涅槃図を拝観することができます。

松原泰道さんと五木寛之さんの対談が掲載されている「いまをどう生きるのか」に涅槃図においてお釈迦様の足に手をかけて泣いているお婆さんの話が紹介されていました。
松原泰道さんの祖父にあたる松原盤龍老師が当時九歳であった松原泰道さんに語った話だそうです。以下、私なりに意訳して紹介します。

インドのある地方に若い娘が住んでいました。娘はお釈迦様という素晴らしい方が自身の教えを話しながら、インド中を旅していると聞きました。「お釈迦様にお目にかかり、その教えを聞いてみたい」、娘はそう決意し、旅に出ました。
しかし、今のような情報があるわけではありません。ただ風の便りにお釈迦様がいらっしゃると聞いた場所を次から次へと訪ねてみましたが、「お釈迦様は昨日お発ちになった」とか「先ほどお出かけになった」と行き違いばかりで、お目にかかることができませんでした。

長い旅路を続ける中に娘も年を取り、お婆さんになってしまいました。ある日、「お釈迦様は今、あの森の中に入っていった」と聞き、曲がった腰を伸ばしながら「今日こそはお目にかかれる」と喜び勇んで森の中に入っていきました。
お婆さんはその時、初めてお釈迦様にお目にかかることができました。しかし、お釈迦様はたった今、お亡くなりになったところで、お婆さんは一言もお釈迦様のお言葉を聞くことはできませんでした。よって、お婆さんはお釈迦様の足に手をかけてさめざめと泣いているのです。

お釈迦様にお目にかかるということは容易にできないことです。お釈迦様が亡くなられてから約2500年ほど経っていますが、我々はその気があれば、お釈迦様の教えを毎日読む、聞くことができます。そのような良い時代に生きているのですから、お釈迦様の教えを胸に留め、良き人生を創ってきましょう。

上の話を読んで私が思ったのは、簡単に手に入るので感謝することを忘れていることがたくさんあるということです。今年の2月15日は日曜日です。是非、お寺にお参りをして、涅槃図を拝観しましょう。そして、お釈迦様の足に手をかけて泣いているお婆さんの話を思い出し、色々なことに気付きましょう。
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