私が仏像の背中に注目しだしたのは、昨年、東京国立博物館で開催された薬師寺展からです。日光、月光菩薩像の背中が見られることが見所の一つでしたが、私はテレビで見た薬師如来像の背中も非常に印象に残っています。とても頼りがいのある背中でした。寝転がってテレビを見ていたのですが、薬師如来像の背中が写った瞬間、思わず起き上がりました。
孟子の言葉に
君子の性は、仁義礼智の四徳で、これらは心に深く根ざしたもので、これらが外に生じると、つややかに面にあらわれ、背にあふれ、四体におよんで、物を言わなくても人は分かる
とあります。
君子の仁・義・礼・智の四徳は、顔にあらわれ、背にあらわれ、黙っていてもその徳は人々に分かるということです。
面は飾ることができますが、背中は飾ることができないので、ごまかすことができません。よって、背中を見ると、その人がどのような人か分かります。背中は見られていないようで、多くの人に見られています。恥ずかしくない背面を築いていきたいものです。
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