JR逗子駅からバスに乗り、バス停「浄楽寺」で下車。境内の方を見ると既に多くの人が境内にいらっしゃいます。途中にある石仏などを見ながら収蔵庫へ。収蔵庫の前は人で一杯でしたが、少し待つと入ることができました。
真正面に阿弥陀三尊(阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩)が祀られており、脇侍のような感じで、不動明王、毘沙門天が祀られていました。阿弥陀三尊はどれも非常に整ったお顔をされていました。一緒に行った方によると、運慶の初期の作品は丸顔なのだそうです。言われてみると、阿弥陀三尊像は全て丸顔です。
不動明王、毘沙門天はとても迫力のある仏像です。この後訪れた満願寺でも不動明王、毘沙門天が祀られていたので、東国の武士には迫力のある不動明王、毘沙門天が受けたのだと思います。
拝観している途中に仏像を管理している方の説明があり、前の方にいる人は座って下さいとのことでしたので、私は座りました。これが下から仏像を仰ぎ見るような形になり、仏像は下から仰ぎ見た方が良いと思っている私にはラッキーでした。
収蔵庫を出た後、本堂へ。本堂では、中央に阿弥陀三尊像、左右に不動明王、毘沙門天の梵字が祀られていました。毘沙門天の梵字が入った厨子には、吉祥天、善膩師童子(ぜんにしどうじ)が描かれていました。毘沙門天の梵字の両脇にも、人物画が描かれていました。私はそれが誰か分からなかったので、吉田さんに聞くと向かって右は聖徳太子だそうです。日本最古の毘沙門天霊場である信貴山は聖徳太子が開基したものなので、聖徳太子は毘沙門天と非常にご縁が深いそうです。左側の老人は誰だか分からなかったのですが、多分、婆藪(ばす)仙人ではないかと思います。婆藪仙人は吉祥天の兄なので、描かれていたのではないでしょうか(自信なし)。

浄楽寺近くのおそば屋さんでしらす蕎麦を食べた後、タクシーで満願寺へ。お寺に到着し、境内にある収蔵庫に入ると、向かって右から、不動明王、地蔵菩薩、観音菩薩、毘沙門天が祀られていました。
観音菩薩像、地蔵菩薩像は共に大きく、観音菩薩像は男性的なお顔をしていると感じました。実際、観音菩薩像は満願寺の開基である佐原義連が自分の姿を彫らせたものであると寺伝では伝えられているそうです。地蔵菩薩像はこのような顔をしている人をどこかで見たことがあるというようなお顔をしていました。
不動明王、毘沙門天は目を大きく見開いているのが特徴的です。不動明王像は右の目は大きく見開いており、左の目はほとんど閉じているような感じなのですが、それが見事に決まっています。
満願寺から徒歩で清雲寺へ。坂を上ったり、下ったり、細い道を歩いたりしながら、清雲寺に到着しました。石段を登り切ると真正面に本堂がありました。境内には良い石仏があり、吉田さんの石仏好きに影響され、私も石仏に興味がでてきました。
本堂内に入り、早速、滝見観音像を拝観しました。右膝を立て左膝を垂下させた姿は非常に印象的です。お寺の方によると宋時代の作であり、本体だけが渡来し、光背は別だそうです。また、泉涌寺の楊貴妃観音像と作風の特色や技法などが同一であり、同一の作者によるものではないかとも考えられているそうです。そのような凄い仏像が横須賀市にあるのは不思議な気がしますが、この辺りを治めていた三浦氏が鎌倉時代初期に大きな力を持っていた証拠だと思います。
滝見観音の向かって右側には滝があり、滝見観音という名前なのに観音様は滝を見ていないように見えます。しかし、観音様は我々の心の中に存在する滝を見ているのだと思いました。人間の中には、決して干上がってはいけない慈悲の涙を溜める湖があり、観音様はその湖に注ぎ込む滝を見ているのです。滝見観音像を拝観しながら、そう感じました。
滝見観音像の向かって右側には、三浦為継公の坐像がありました。また本来ならば木造毘沙門天立像も祀られているはずなのですが、現在、鎌倉国宝館に出張中だそうです。鎌倉国宝館へ行って、是非、拝観しなければ。
カテゴリ
タグ