五重塔は仏舎利を奉安するための仏塔です。塔の上には相輪が飾られ、宝珠はその最上部に位置します。この宝珠はかって現五重塔を荘厳していました。宝珠は仏教において「意のままに願いを叶え、災いを引き受けてくれる宝の珠」という意味を持ちます。仏の時物などとして表される一方、それ自体が霊験あらたかな存在として信仰されることもあります。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は多くの人命や家屋を奪いました。当時、浅草寺も震度5弱の地震に見舞われ、多くの堂舎が被害を受けました。特に五重塔では重さ154キログラムもある相輪の宝珠が落下する事態となりました。ところが幸いにも宝珠は参拝者のひしめく正面参道側を避け、反対側の誰もいなかった伝法院庭園に落下しました。
この宝珠は、震災の凄まじさを示す証拠である一方、観音さまの意を汲み、災いを引き受けてくれた宝珠自体の力も示すこととなったのです。
東日本大震災時、五重塔の宝珠が落下していたとは知りませんでした。また、参道側ではなく、人の居ない側に落下したのも感じるものがあります。

落下した宝珠

伝法院側から見た五重塔

参道側から見た五重塔
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