11月3日から金沢文庫で特別展「唐物 」が開催されています。金沢文庫の展示では、土日祝日に展示解説がありますので、それに合わせて、11月3日に訪れました。

画像の案内板には、横須賀市清雲寺の瀧見観音像が大きく写っています。瀧見観音像は南宋時代に造られたと考えられており、このようなリラックスした姿の観音像は、中国で観音菩薩と仙人のイメージが合わさって生まれたもので、京都では受け入れられませんでしたが、鎌倉では受け入れられ、鎌倉市東慶寺の水月観音像が有名です。

上記のような知識があったので、解説もそのような話をされるのかと思っていましたが、良い意味で裏切られました。

今回の展示のため、清雲寺で像を搬入する時、厨子の中をよく調べると、江戸時代作ですが、善財童子、月蓋長者が脇侍として祀られていることが分かったそうです。観音菩薩、善財童子、月蓋長者の三尊形式は、観音菩薩の聖地として有名な中国・補陀山の観音菩薩と同じです。ですので、瀧見観音像は補陀山の観音菩薩の代わりとして信仰されていたと考えられるそうです。ちなみに京都・泉涌寺の楊貴妃観音像も同じ三尊形式です。

また、獅子に乗った観音菩薩が描かれた仏画もありました。獅子の乗るのは文殊菩薩なので、以前はどのような仏画か分からなかったそうです。中国・補陀山の観音像は、日本の僧・恵萼(えがく)が文殊菩薩の聖地・五台山から観音像を日本に持ち帰ろうとしたところ、補陀山で動かなくなったので、そこに観音像を祀ったものです。よって、獅子に乗った観音像は、中国・補陀山の観音菩薩を描いていると考えられるそうです。

中国・補陀山はいつか訪れたいと思っていますので、今回、改めて、様々なことを知ることができ、良かったです。
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