サントリー美術館で開催されている「高野山の名宝」展も気づけば今日までの開催ですので、本日、行ってきました。以下、印象に残った仏像について書きます。

・弘法大師坐像(萬日大師)
ある行者が三十年、約一万日にわたり毎日この像に参詣していたところ、一夜夢に大師が現れ、行者の功を愛でて東を向いた。夢から醒め、像に詣でると、像の顔が左を向いていたので、「萬日大師」と呼ばれています。弘法大師像といえば、厳しいお顔をしている像もありますが、本像は伝承のとおり、行者を愛でているような、優しいお顔をされていました。

・天弓愛染明王坐像
重要文化財に指定されている天弓愛染明王像は、(1) 山梨県放光寺、(2) 京都府神童寺、(3) 和歌山県金剛峯寺の三体で、放光寺と神童寺の像は拝観したことがありますが、今回、金剛峯寺の像を拝観することが出来ました。

鑑賞して、弓矢を持つ手の腕が細いのが気になりました。平安時代の作なのでそのような形式が好まれたのか分かりませんが、腕が太いほうが遠くまで矢を放つことが出来るようで、よりご利益があるように感じられるのではと思いました。

・不動明王坐像
高野山奥の院の護摩堂の本尊と考えられる像です。「大師様」と言われる様式の像で、個人的には大師様の像はあまり格好良いと感じませんが、本像は水晶を使った玉眼がきまっており、良い像でした。

・執金剛神立像
右足を挙げ、その右足で今から大地を踏みつけようとしている姿が一般の執金剛神像とは異なり、しかも快慶作ということで印象に残りました。

・四天王像
こちらも快慶作で、南都焼討の後、東大寺を再建する際に造った東大寺大仏殿四天王像の様式に沿った「大仏殿様」の像です。大仏殿様の四天王像は以前、海住山寺の像を拝観したことがありますが、その像は小さく、今回の像は135センチ程度ありますので、より良さが伝わってきました。実際の大仏殿の像は約13メートルあったそうで、とても迫力があったことでしょうね。

多聞天、広目天は特に厳しい表情をしており、大仏殿焼失という惨事を二度と繰り返さないという当時の人々の強い意志が感じられました(残念ながら、戦国時代に再度、焼失してしまいましたが)。

13メートルという巨大な像がモデルなので、どの像もしゃがんで下から見上げた姿が一番良かったです。

・孔雀明王坐像
四階の展示室から三階の展示室に階段で降りて行くと、孔雀明王像が展示されているのが見え、感動しました。本展の目玉は八大童子像でしょうが、孔雀明王坐像も目玉だと思います。

快慶らしい美しい像で、近くで見ても、遠くから見ても素晴らしかったです。

・八大童子像
最後に今回の目玉である運慶作・八大童子像が展示されていました(八体の内、二体は運慶作ではなく、後から補われたものです)。今回初めて鑑賞しましたが、想像していたとおり、素晴らしい像でした。その中でも、制多迦童子像の特に向かって右側から見た姿が良かったです。

来年は、高野山開創1200年祈念大法会がありますので、本日お会いした仏像と来年、高野山で再会したいです。


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