10月4日の最後に訪れたのは、松阪市にある朝田寺(ちょうでんじ)です。
到着したのは暗くなってからですが、御住職様が説明をしてくれました。
本尊は地蔵菩薩立像で、一般的にお地蔵さんは右手に錫杖を持っていますが、こちらのお地蔵さんは錫杖を持たず、与願印をしています(画像が朝田寺のホームページにあります)。これはお地蔵さんの古い形式で、お地蔵さんが亡くなった方を極楽浄土に導く仏、つまり、一緒に極楽浄土まで歩いてくれる仏と考えられるようになってから、地蔵菩薩像は錫杖を持つようになったそうです。朝田寺の地蔵菩薩像はその考えが成立以前のものなので、錫杖を持ってないとのことです。
また堂内には亡くなった方の着物が掛けられていました。金剛證寺の記事で、「金剛證寺には通常より遥かに背の高い卒塔婆がたくさんあり、この辺りでは、亡くなった人の霊魂は全く別の世界に行ってしまうのではなく、金剛證寺がある朝熊山に霊が集まる「他界」があるという考え(山中他界説)があるからです」と書きましたが、朝田寺周辺では、人が亡くなると、お地蔵さんに極楽浄土に連れて行ってもらうために、亡くなった方の着物を本堂にかける風習があるそうです。
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