(全体)
・今回の展示は、仏像はガラスケース内で展示されているのではなく、露出展示である。是非、木の美しさを見て欲しい。日本の中でも、高知の木は特に美しい。
・下関という地名があるが、関は通行税を取る場所。つまり、大陸からの船が瀬戸内海を通過する時、税金を払う必要があった。それを避けるため、難破する可能性が高くなるが、太平洋(高知県沿い)を通る船があった。よって、高知県には大陸で造られたと考えられる仏像が何体かある。
(笹野大日堂 大日如来像)
・湛慶工房で造られたのでないかと考えられる。理由は二つあり、一つ目は、運慶が考案した像底近くに棚板状のものを設ける技法が使われている。二つ目は、湛慶の造った仏像は鼻に穴が開いており、本像も穴が開いている。
→本展示会のボスターに使用されている像です。ポスターからの印象で円成寺の運慶作・大日如来像と同じぐらいの大きさかと思っていましたが、像高49.4cmの像でした。造りが素晴らしいので、写真で大きく引き伸ばしても、全然違和感が無いです。
(多留川観音堂 菩薩形立像二号像)
・ボロボロになってしまっているが、本来は、三面千手観音像であると考えられる。他に三面千手観音像が安置されているお寺は
- 熊野 補陀落山寺
- 小浜 妙楽寺
- 京都 正法寺
- 高知 金剛福寺
である。
補陀落山寺、金剛福寺、多留川観音堂に共通するのは、補陀落渡海。補陀落信仰の共通点として、三面千手観音像が祀られていた可能性がある。
(定福寺 地蔵菩薩立像)
・六地蔵像で、三体は首を横に向け、三体は正面を向いている。博物館で展示される場合は、横一列に並んで展示されるが、本展示では、本来はこのように安置されていたのではないかと考えられるV字型で展示されている。よって、三体の像全てと目が合う場所がある。
→三体の像と目が合う場所が中々分かりませんでしたが、最後には分かりました。これから展示会に訪れる方は、是非、その場所を探してください。
(金林寺 菩薩形立像四号像)
・前回の記事でも紹介しましたが、子供が中々できない夫婦に貸出していた像です。個人的には、今回の展示で一番良い像です。赤ちゃんのような純朴な表情をしており、今まで、たくさんの願いを叶えてきたのだろうなと感じます。仏像の役割は色々あると思いますが、本像のような仏像が果たしてきた役割はとても大きかったと思います。
二日間連続で、青木先生の話を聞き、展示を拝観しましたが、先生の高知県の仏像、人々に対する思いが感じられる今回の特別展は本当にお勧めです。
※12月7日の日曜美術館で本展が紹介されるそうです。
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