月刊致知七月号に掲載されている、山下泰裕さんと横綱・白鵬関の対談より。

(山下)私が入った中学は、その時点で九年間公式戦無敗の記録を持っていました。そのくらい強い柔道部だったのですが、先生が大切にされていたのは「人生の勝利者、人生のチャンピオン」になることでした。

どんなに柔道で頑張って日本一になった、世界一になったとしても、選手としてやれるのは三十歳くらいまでだ。大事なのは柔道で頑張ったことを人生に生かすことだ。

柔道でチャンピオンになれる人は1人しかいない。しかしその人が人生のチャンピオンになれるかどうか分からない。柔道で学んだことをみんなが普段の生活の中で一生懸命生かしていけば、全員が人生のチャンピオンになれる。柔道はそのためにやるものだ。

みんな俺の話を真剣に聞いてくれているよな。大事なのは俺の話を聞くような気持ちで、みんなのことを思ってくれているお父さん、お母さん、担当の先生の話を聞くことだ。

道場でできることと日常生活を一致させることが大切だ。道場では挨拶もするし、ルールも守る。夢に向かって努力もするし、仲間と力を合わせ、戦った相手のことも思いやる。それを道場で終わらせるな。人生に生かすんだ。
カテゴリ
タグ