今年は北条時頼が亡くなってから750年になるので、鎌倉国宝館で特別展「北条時頼とその時代」が開催されています。担当学芸員による列品解説が11時からですので、本日それに合わせて、鎌倉国宝館に行ってきました。

まず最初は「時頼の肖像」ということで、現存する中世の時頼像が五体展示されていました。
肖像は大きく俗人像と僧像の二種類に分けられ、どちらの場合でも鼻先がやや上を向くという特徴があり、僧像の場合は、頭頂部がやや尖る、頭頂から額にかけて数本の縦皺(たてじわ)があるという特徴があるそうです。

中世において、没後からあまり時間が経過していないのに像を造られた為政者は時頼しかおらず、これは、
・時頼の代に北条家の支配する土地が一気に増え、新しい土地に時頼像を安置した。
・時頼は禅宗を深く信仰したので、新しく造られた禅寺に時頼像を安置した。
からと考えられるそうです。

像の中では愛知県・熊野神社の時頼像が滅多に拝観できないので、貴重とのことです。

次は「時頼時代の彫刻」です。
常楽寺の文殊菩薩像は通常とは異なり、法衣垂下など中国風の様式なので、珍しく感じました。
荏柄天神社の束帯天神坐像も滅多に拝観できない像で、生身仏としての天神像とあるようにとても迫力がありました。発願者は平政泰で、造立の前年、皇族出身の将軍が誕生したことから、朝廷と幕府の両方の繁栄を願って造られたそうです。

時頼は蘭渓道隆に深く帰依しており、来年は蘭渓道隆の生誕800年ということで、「蘭渓道隆と建長寺」もありました。

写真だけの展示ですが建長寺の蘭渓道隆坐像は目が金色になっており、これは蘭渓道隆の眼光の鋭さを表しているそうです。常楽寺の蘭渓道隆坐像が展示されており、確かに目が金色に装飾されていました。

蘭渓道隆愛用の鏡もあり、弟子が蘭渓道隆の鏡に映った姿を見ると、観音の姿だったので、蘭渓道隆は観音の化身であったと分かったそうです。

済田地蔵と呼ばれる地蔵菩薩像も展示していました。済田左衛門が処刑される時、身代わりになった地蔵像で、後に建長寺本尊の地蔵菩薩像の頭部に納められました。さきほどの鏡と済田地蔵像も滅多に拝観できなく、建長寺の霊宝中の霊宝だそうです。

北条時頼は建長寺の開基なので、建長寺から多数の素晴らしい寺宝が展示されており、価値ある展示会でした。


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