月刊致知3月号に掲載されている齋藤孝さんの「実語教で生き方を学んできた日本」より。

「実語教」からのいくつかを紹介してみましょう。

・富は自分が生きている間は大切なものですが、死んでしまえば墓の中まで持っていけるものではありません。それに対して、智恵は万代も後まで残るものです。自分が死んでも、子孫へと受け継がれていくものなのです。

・倉の中に大切にしまっておいた財産でも、なくなってしまうことがあります。しかし、一度身についた智恵や能力はなくなることがありません。いくら大金を積んでも、一日一日の学びには及ばないのです。

・父母は天地のような存在であり、先生や指導者は太陽や月のような存在です。親戚はたくさんいても、先生になるとは限りません。夫妻も互いが先生になるわけではありません。ですから、両親は大切にして、いつも孝行しなさい。先生は尊敬して、いつもその言葉にしたがって学びなさい。

・善い行いをする人には幸福が訪れます。それは例えば、こだまが返ってくるようなものです。悪事を好む人は禍を招きます。それは例えば、自分の体に影がついて回るようなものです。

「実語教」は、人間として知っておくべき智恵をわかりやすいたとえを交えてやさしく説いていきます。その内容は、いまもなお通用するものばかりです。
要するに、子供の頃に「実語教」を学んで身につけてしまえば、自動的に立派な日本人として生きていけるようになっていたのです。
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