本日は、大和路秀麗八十八面観音霊場会の冊子を監修された西山厚さん、本文を執筆された愛川純子さんによる講演会を聞くために奈良まほろば館へ行ってきました。



西山さんと愛川さんは実際に八十八面観音を巡礼したそうです。
(一日目)西大寺、法華寺、海龍王寺
(二日目)大安寺、法輪寺
(三日目)室生寺、長谷寺、聖林寺

それぞれのお寺について、紹介してくれました。
(西大寺)
・観音像は京都生まれで、高さは6メートルほど。
・18日に観音護摩が厳修され、その時は薄い紫色の布が観音像の前に掛けられる。
・叡尊の植えた菩提樹がある。
→ 西大寺は何度か訪れたことがありますが、18日に訪れたことがないので、巡礼時は18日に訪れたいなと思いました。

(法華寺)
・観音像は公開される日が限定されている。今年の前半は、3/20~4/7、6/5~6/10である。6月7日が光明皇后の命日なので、その前後に御開帳される。
・池の上を光明皇后が歩いている姿を模していると言われており、後ろ姿は正に女性のようである。
→ やはり、観音像が御開帳されている時に訪れたいですね。

(海龍王寺)
・御住職ががんばっているお寺。
・山門から中門への土塀が良い。御住職には直さないようにと言っている。
・海龍王とは龍の王様である。その為、遣唐使が無事に航海できるよう祈られていた。
・金堂の前には池があり、八大龍王が祀られていた。現在は、龍をイメージした松がある。
→ 御住職ががんばっているお寺という西山さんの説明はそのとおりだと思いました。

(大安寺)
・奈良を代表する大寺院だったが、江戸時代は大安廃寺と書かれるほど荒廃していた。
・観音像は体部は奈良時代だが、頭部は新しい。これは、仏像はメンテナンスが必要だが、衰退時に補修されなかった為である。
・ガン封じ祭りが1/23、6/23に行われる。
→ ガン封じ祭りには笹酒がふるまわれるそうで、いつか訪れたいなと思いました。

(法輪寺)
・後ろからも拝観でき、頭部の大笑面も確認できる。
・御住職が良い人。
・八十八面観音巡礼には厄除けの御利益があると言われている。江戸時代に奉納された賽銭箱に「厄はらい観音」という文字が書かれているそうです。
→ 訪れた時は賽銭箱の文字も忘れずに確認しようと思います。

(室生寺)
・冊子の表紙は観音像の頭上面である。
・愛川さんは厄年の時、何もかも上手くいかず、室生寺の観音様に会いに行った。その時は救われたか分からなかったが、再び会いに行った時、再びお会いできたこと自体が救われていたことなのだと実感した。
→ 室生寺は女人高野と言われており、現在も多くの女性を救っているのだろうと思いました。

(長谷寺)
・(二つの写真を並べ)その時々によって、お顔が異なって見える。
・特別公開時は足元まで入ってお参りができる。
・琵琶湖のほとりに楠の大木が流れ着いたが、この大木は荒ぶる大木で、祟りが起きたので、長谷に捨てられた。徳道上人が七年間大木に祈り、荒ぶる力を慈悲の力に変えた。
・観音像は何度か火災に遭っているが、その都度、頂上仏は残り、新しい像の胎内に納められてきた。よって、今の観音像にも創建当初の霊力が残っている。
→ 話を聞き、ますます長谷観音が好きになりました。

(聖林寺)
・本尊はお地蔵さん。多くの人は本尊にお参りしないで、観音像にお参りに行くが、まずは本尊にお参りして欲しい。観音様も御本尊にお参りせず直接お参りに来るのを、御本尊様に申し訳ないと思っているのではないか。
・フェノロサが寄進した厨子がある。厨子の下にはレールがあり、火災時などはすぐに移動できるようになっていた。
・廃仏毀釈時に道端に捨てられていたという話があるがそれは嘘。当時の人々は信仰心があり、大切に移された。
→ 以前開催された西山さんの「奈良に廃仏毀釈はなかった」という講演を聞くことができなかったので、廃仏毀釈の話は興味深かったです。

講演は素晴らしく、聴講していた人は皆、八十八面観音を巡礼しようと思ったことでしょう。
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