東京メトロ銀座線・三越前駅で下車し、A7出口から出ると、問題なく、三井記念美術館に到着しました。
展示室1に入ると、まずは善水寺の誕生釈迦仏立像が展示されていました。腕が太く、たくましい感じがする像です。360度から拝観でき、横から見ると、上半身が少し後ろに傾いていました。次は聖衆来迎寺の薬師如来立像です。こちらは右手で衣を握っている珍しい像でした。
展示室2,3を鑑賞し、いよいよ、メインの展示室4へ。こちらにはたくさんの仏像が一堂に祀られており、正に「滋賀の仏像が東京に来た」という印象を受けます。
明寿院の大黒天半跏像は、右足を踏み下げており、右手に袋、左手に宝棒を持っています。私の知る範囲では、踏み下げ像は左足を踏み下げている場合が多く、また宝棒のような武器は右手に持つことが多いので、何か左右が逆転しているような印象を受けました。
聖応寺の阿弥陀如来坐像は立った状態で拝観しても、にこやかな表情をしていますが、正面で座って見上げると益々にこやかなお顔になり、良い像でした。
西教寺の薬師如来立像の解説に「肉髻の基部を明確に表さないヘルメット状の頭髪、両脚部に大きくX字状に刻む衣紋線は、この地域の天台宗系の寺院の薬師如来像に顕著に見られる特徴」とあり、それがよく分かりました。
永昌寺の地蔵菩薩立像は、頭の部分を手で隠して見ると、如来像のようなお姿でした。また翻波式衣紋がよく分かりました。
延暦寺の不動明王立像は左足を少し前に出しており、救いを求めるものを助けに行く姿を表わしていました。不動明王という名前から本来はどっしり座って動かない仏様でしたが、時代に要請により、立ち上がり、救いに行く姿が作られたのだと思います。
長命寺の地蔵菩薩立像は栄快の作です。こちらも立ったまま見るよりもしゃがんで見上げたほうが、素晴らしかったです。
西教寺の薬師如来坐像は珍しい印相、つまり、右手の掌を薬壺のほうに向けて胸前でかまえています。仏教的意味はなさそうですが、何故、こういう印相にしたか想像するのは楽しいですね。私は、右手で薬壺にパワーを込めているのかな等と思いました。
石山寺の快慶作・大日如来坐像は、今回の目玉であり、展示会チラシの表面に載っています。大日如来像としては私が最も好きな像で、本当に素晴らしい像です。
展示室4の最後は「神像と本地仏」で、まずは石部神社の薬師如来坐像が展示されていました。案内に「本地仏に相応しい様相」とあり、言葉では伝えにくいですが、正にそのように感じる像でした。
次は熊野神社の熊野本地仏像(阿弥陀、千手、十一面、地蔵)が展示されていました。隣で鑑賞していた人が「下半身の造りが甘い」と言っていましたが、そのような美術品としてだけの見方は勿体無いなと思いました。展示されている像は本地仏としての魅力が強く感じられる像でした。
展示室4、5を鑑賞し、展示室7には仏画が多数展示されており、こちらも良い展示でした。
東京に滋賀県の仏像がこれほど集まる機会は滅多にないので、今回の特別展はお薦めです。
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