6月28日の記事「京都へ行きました」の続きです。
まずは広隆寺を訪れました。今回の目的は吉田さらささんの最新本「京都、仏像をめぐる旅」の中で、吉田さんが推薦されていた不空羂索観音像を拝観することです。広隆寺には一度だけ訪れていますが、弥勒菩薩像の反対側にりっぱな大きな仏像が祀られていたという記憶しかなく、不空羂索観音が祀られていたか覚えていませんでした。

仁王門をくぐって不空羂索観音が祀られている霊宝館を目指しますが、そこに到着するまで、境内に色々見所のあるお堂があります。まずは仁王門を入ってすぐ左にある薬師堂です。薬師堂には本尊として霊験薬師仏檀像、脇侍として不動明王、阿弥陀三尊が祀られていました。薬師如来像は平安時代の神仏習合の型をとった珍しい天部形だそうですが、残念ながら暗くてよく分かりませんでした。

次は講堂(赤堂)です。本尊として阿弥陀如来像、脇侍として地蔵菩薩像、虚空蔵菩薩像が祀られていました。三像とも大きく、りっぱな仏像でした。

そして地蔵堂です。腹帯地蔵像が祀られており、こちらも大きく、りっぱな仏像でした。名前の通り、腹帯を締めており、案内板には弘法大師作と書かれていました。

本堂でお参りをし、いよいよ霊宝館へ。受付で700円を払い、入口から中に入ると最初に国宝の十二神将が目に入りました。こちらの十二神将には頭に干支が付いておらず、古い仏像だということが分かります。十二神将像は一つとして同じ方向を向いておらず、薬師三尊を守っているそうです。そして、薬師三尊へ。薬師如来像は厨子の扉が閉まっており、直接拝観することはできませんでしたが、両脇の日光、月光菩薩は素晴らしかったです。

次は霊宝館のメインである弥勒菩薩です。「宝冠弥勒」と呼ばれる有名な像、「泣き弥勒」と呼ばれる像、それともう一つ弥勒菩薩像が三尊形式で祀られていました。弥勒菩薩像の前には畳を敷いた縁台のようなものがあり、座りながら拝観することができます。こちらに座ると弥勒菩薩像を下から眺めるように拝観できます。

そして反対側には、今回のお目当てである不空羂索観音像が左、真ん中に千手観音像、右に十一面千手観音像が三尊形式で祀られていました。不空羂索観音像、十一面千手観音像はとてもりりしいお顔をしていました。本に書かれていたように、不空羂索観音像は新しい羂索をお持ちでした。

美術品として見た場合、両脇の仏像の方が真ん中の千手観音像より優れているのでしょうが、私には真ん中の少し破損した千手観音坐像が一番印象に残りました。そのお姿から、どんなことがあっても全てのものを救ってみせるという強い誓願を感じることができました。
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