月刊致知8月号に掲載されている塚本徳臣さんの「我が空手道は『天地一つ』」より。

ボランティアの施設に行った時に、たまたま「ドリームヒーラー」という本を手に取りました。アダムという天才ヒーラーが十六歳の時に書いた本で、その本にはこう書いてありました。

「宇宙のエネルギーを体の中に取り入れて、それがお腹を通って、足の裏から地球の真ん中と繋がるイメージを持つと、宇宙のエネルギーで治せる。私は宇宙と一つ」

これを読んだ時、宮本武蔵の本の中に出てくる柳生石舟斎の話を思い出しました。剣豪・柳生石舟斎は「日の本には誰も俺に勝てるやつはいない」と思って、後に師匠となる上泉伊勢守に勝負を挑むんです。しかし、あっさりと負けてしまう。何度挑戦しても勝てない。その時に、上泉伊勢守は柳生石舟斎にこう言います。

「技の研鑽(けんさん)は素晴らしい。だが、あなたの心の中は己のみである」
「ならば、剣とはなんですか。教えてください」
上泉伊勢守は天を指さして
「我が剣は、天地一つ」
と言うんです。

初めて読んだ時は意味が分かりませんでしたが、「ドリームヒーラー」を読んだ時に繋がりました。

宇宙と一つになることだけに集中すると、相手の気持ちが分かったり、次にどんな技を出そうとしているのかが読めるようになりました。天地一つとはつまり、自分も相手も一つだということです。

僕自身は、天地一つに気づいて、自分が幸せになって、周りも幸せになったので、そういうことを道場に来た人や僕が接する人たちに教えていく使命があります。そして、その人たちも幸せになって、それが世界中に広がっていくことを願っています。
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