いよいよツアー最後のお寺、稲田寺です。今回のツアーでは一つ心配なことがありました。それは二日目が3月11日で、その日の2時46分にどこにいるのだろうということです。バスの車内、食事中など色々考えられましたが、やはり、お寺にいたいなと思っていました。

稲田寺に到着すると、お寺の方に阿弥陀堂へ案内してもらいました。堂内に入ると、こちらでも皆さん「わっ」と声を上げました。それほど、素晴らしい阿弥陀三尊がいらっしゃいました。



堂内に座って、お寺の方の話を聞きます。お寺には仏像に関する記録は何も残っていないのだそうです。阿弥陀如来像は平安末期の丈六仏で、檜の寄木造、定朝様式とのことです。

阿弥陀如来像は奥州藤原氏が制作を依頼し、奥州へ向かう途中に船が難破したため、伊豆に残ったと考えられているそうです。確かにこのような素晴らしい丈六の阿弥陀如来像を東国で依頼できるのはその当時、奥州藤原氏だけだっただろうと思います。



阿弥陀如来と脇侍の観音、勢至菩薩は作りが異なり、脇侍は江戸時代に造られたものだそうです。私は作りが違うのは分かりませんでしたが、脇侍は来迎形なのに何故、阿弥陀如来は来迎印ではなく、弥陀定印をしているのだろうと思っていました。

脇侍は江戸時代の等身大の像ですが、良いものでした。私はお寺の方の話を聞いている時、勢至菩薩像の前にいましたが、勢至菩薩が本当に目の前にいるような感覚を受けました。





大仏のような大きな仏像はその大きさから偉大さを感じますし、同時に我々とは異なる世界にいらっしゃるような感じを受けます。

一方、人間と同じぐらいの大きさの等身大の仏像は、我々と同じ世界に本当にいらっしゃるような感じを受け、身近な存在という気がします。

稲田寺を訪れる方は是非、勢至菩薩像の前に座って、像と対面してみて下さい。

お寺の方の話が終わって、像を拝観していると2時46分が近づいてきました。稲田寺の境内には、安政東海地震で亡くなった方々を供養するために建てられた「津なみ塚」があります。



その前に集まり、2時46分になるのを待っていると、黙祷を呼びかける町内放送があり、それに合わせて、黙祷をしました。2時46分を稲田寺の津なみ塚の前でむかえることができ、良かったです。

これで今回のツアーは終了しました。今回も素敵な仏像を拝観することができ、楽しいツアーでした。伊豆は東京からも近いですし、これからも何度も訪れたい場所です。

(追記)帰りに、伊豆オレンヂセンターで、ウルトラ生ジュースを飲みました。「一杯飲んだら3年長生き」だそうで、とても美味しかったですよ。
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