南禅寺は今回のツアーで最も楽しみにしていたお寺です。伊豆の仏像を紹介している本で南禅寺仏像群のことを知り、平安時代初期の仏像が多数安置されている南禅寺を訪れてみたいと思っていたのです。

お寺に到着した時の第一印象は想像よりお堂が小さいです。たくさんの仏像が祀られているので、大きなお堂を想像していました。

この辺りに奈良時代に創建された那蘭陀寺(ならんだじ)という大寺院がありました。しかし、1432年に山崩れにより一夜のうちに埋没してしまい、地元の方が埋没した仏像を長い時間をかけて数体ずつ掘り起こしたと言われています。現在のお堂は江戸時代に建立されたものです。

お堂に入ると、皆さん「わっ」と声を上げました。もちろん、それは堂内にたくさんの仏像が安置されていたからです。

お堂の中央には薬師如来坐像が祀られていました。像高117.7センチ、榧の一木造りで、京都にあってもおかしくない、とても素晴らしい仏像です。

薬師如来坐像の脇には、像高190センチほどの観音菩薩立像と地蔵菩薩立像が祀られていました。どちらも個性的な像です。



地蔵菩薩はおでこが広いのが特徴で、観音菩薩は江戸時代に表面全てを彫り直したそうですが、悪くはないと感じました。





お堂の左右には、「地元の方が埋没した仏像を長い時間をかけて数体ずつ掘り起こした」という話が事実であると示すかのような破損仏が祀られていました。



お堂の入口の左右には二天像が祀られていました。こちらの像は目が合うように下から見上げた時の姿が格好良かったです。



おびんずるさんもとてもユニークです。最初、吉田さんがおびんずるさんを撫ででいた時、手がとれたので、周りにいた人は「壊した?」と思いましたが、手首から先が取れるようになっており、それで自分の体の直して欲しい箇所を撫でるのだそうです。



前回の善光庵の記事で、「このような仏像を拝観すると伊豆って不思議なところだなと思います」と書きましたが、それを最も実感するのがこの南禅寺です。「素晴らしい仏像がある」=「文化が高い」ですので、平安時代の伊豆はどのようなところだったんでしょう。これからもお寺めぐりを通して、その土地の素晴らしさを感じたいと思います。

南禅寺の仏像は数年後(再来年?)に博物館に移動になるそうです。
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