平等寺には数年前の京都非公開文化財特別公開で訪れ、とても印象深い拝観ができました。しかし、その時は色々と忙しく、結局、ブログには平等寺のことを書けませんでした。よって、次回特別公開があった時には必ず訪れ、ブログに書こうと思っていましたので、今回の京の冬の旅では外せないお寺でした。

平等寺に到着し、本堂に上がると、まずは左側に案内され、以下のような縁起について聞きました。
橘行平という人が天皇の命令で因幡国に行き、神事を済ませ、京都に帰ろうとしましたが、病気になりました。

ある夜、行平は夢で、「因幡国の賀留津に浮き木があるので、それを探して、供養しなさい」というお告げを受け、早速、賀留津に行き、大綱で海底を探すと、一つの浮き木を見つけました。よく見ると、それは薬師如来像でした。

そこで、お堂を建てて、薬師如来像を安置すると、病気が治り、京都に戻ることが出来ました。

帰京してしばらくした後、行平の夢の中に一人の僧が現れ、「我は西の天より来て、東の国の人々を救おうとやってきた」と言いました。目が覚めると、家人が「因幡国の僧が訪ねて来られました」と言うので、驚いて門を開けさせると、そこに薬師如来像が立っていました。行平は屋敷を改造してお堂を造り、薬師如来像を祀り、そのお堂を因幡堂と呼びました。

因幡薬師の霊験は平安京で評判となり、歴代の天皇もお参りに来ました。薬師如来は分け隔てなくお救いになるので、高倉天皇より「平等寺」と名付けられました。

以上が縁起で、京都にあるのに何故因幡薬師なのかが分かります。

また涅槃図も掲げられていました。摩耶夫人が薬を投げたという話をしていましたが、それは薬袋ではないことを以前ブログに書きましたので、「この作り話は本当によく広まっているな」と思いながら聞いていました。しかし、その中で興味深いがありました。「ここから投薬という言葉が生まれた」という話です。何故、薬を与えることを投薬、すわなち、投げるというのでしょうか。

次は本堂右側に移動しましたが、本堂中央に祀られている十二神将像は素晴らしいです。初めて拝観した時、因幡薬師堂にこのような十二神将像が祀られているとは思わず、ビックリしたのを覚えています。

本堂右側には仏像が祀られています。不動明王、地蔵菩薩、毘沙門天、愛染明王、大黒天が祀られており、大黒天の向かって右隣にシバ神も安置されていました。この中で注目は大黒天です。小さな像ですが、憤怒相で、象の皮を両手で広げて持っている、あまり見かけることのない像です。

堂内の拝観が済むと、境内にある収蔵庫に移動しました。中央に因幡薬師立像、向かって右に如意輪観音坐像、左に清涼寺式釈迦如来立像が祀られていました。

因幡薬師像は頭に頭巾(ずきん)をかぶった姿が印象的です。頭巾になにか逸話がありそうですが、そのようなものはなく、火災時に非難させる時、傷がつかないように頭巾をかぶっているそうです。また薬師如来像には台座がありません。これは因幡国から飛んできた時に台座は因幡国に置いてきたからだそうで、実施、因幡国(鳥取県)には座光寺というお寺があるそうです。

また収蔵庫に、呉職神(くれはとり)、漢職神(あやはとり)の織物の女神像も祀られていました。以前訪れた時には、本堂左側に祀られており、今回は本堂左側に祀られていなかったので、「今回は拝観できないのか」と思っていましたので、今回もお会いできて、良かったです。こちらの女神像も前回訪れた時、印象に残った像の一つです。

平等寺(因幡薬師堂)は想像以上の寺宝がありますので、この機会に訪れることをお薦めします。


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