本日は埼玉県立歴史と民俗の博物館で開催されている特別展「円空 こころを刻む ー埼玉の諸像を中心にー」を鑑賞に行きました。

円空といえば、岐阜県、愛知県を真っ先に思い浮かべるかも知れませんが、埼玉県には全国で三番目に多く円空仏が残されており、それらが一堂に展示される貴重な展示です。

展示されている円空仏の中で一番良いなと思ったのが、春日部市・観音院の聖観音立像、不動明王立像、毘沙門天立像の三尊です。総高は聖観音が約2メートル、不動明王と毘沙門天が約1.3メートルと円空仏にしては大きな像です。多くの人がこの三尊の前で立ち止まってしばらく眺めていました。

不動明王像が数多く展示されていましたが、一番最初に展示してあった大きな不動明王像が印象に残りました。私は大きな円空仏が好きなのかも知れません。

護法神像は金剛棒を体の前に立てた姿で、「通れるものなら通ってみろ」という解説が正にピッタリだと思いました。

薬王寺の薬師三尊の薬師如来は大きな薬壺を持った微笑んだ像で、病に苦しんでいる人が円空にこのような像を刻んでもらえれば、絶対に元気になると思いました。

「円空の雲文」では、体の中に渦巻のような文様があるのが円空仏の特徴として、渦巻がある像が展示されていました。案内には

足元に表現されているものは、波頭ではないかとみられるものもあるが、胸から腹にかけての場合は、渦巻のような文様に混じって綿雲があるものがあり、雲とみてよいだろう。これは、来迎の図や像でみられる飛雲と考えられる。仏が人々を救いに来るというイメージが込められていると考えられる。

とありました。つまり、渦巻は雲であるということです。しかし、私は雲ではなく、波(水)ではないかと思います。円空にとって、長良川の大洪水で母を失ったことは最も大きな出来事であり、水に飲まれた母親は仏の世界に行ったと思い、仏像に水の模様を彫ったのではないかと思います。

展示会は27日までで、埼玉県の円空仏が一堂に揃う貴重な機会ですので、多くの人に訪れて欲しいと思います。


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