渡岸寺観音堂は駅から歩いていける距離にあります。田園風景を見ながら、のんびりと歩くのも良いものです。途中途中に渡岸寺観音堂への道標がありますので、迷うことはないと思います。

しばらく歩くと、渡岸寺に到着しました。

三門から境内に入ると、右側に「埋伏地由来」と書かれた案内があります。姉川の合戦では、このあたりの寺院はことごとく兵火によって焼き払われました。その時、観音像を地中に埋めて災禍を逃れたのが、この場所です。

受付で拝観料300円を払い、収蔵庫へ。中に入ると、国宝の十一面観音像が変わらぬ御姿で安置されていました。そして、もう一つ嬉しいことがありましたが、それは後で書くことにします。
説明の方が参拝者の方と話をしていましたので、まずは観音様の周りをぐるりと一周。渡岸寺観音堂では観音像をぐるりと360度から拝観することができます。360度、どこから見ても美しい観音様です。
正面に戻り、座っていると、説明の方が説明を始めてくれました。このように説明してくれるのは有難いですね。説明の中で印象に残ったのは
十一面観音なので十一個の顔があるが、それぞれに体があると思いましょう。つまり、前に十一体の観音様がいるのと同じと思いましょう。
十一体が相談してパーフェクトな回答を返してくれる観音様。つまり、こちらの観音様は十一体分の力を持った観音様である。
という話です。
説明が終了すると、説明の方に「高月観音まつりの時に冷水寺で説明されている方ですね」と話しかけました。
毎年八月の第一日曜日に開催される高月観音まつりは高月町にある素晴らしい観音像を予約なし&無料で拝観できる仏像好きな人にとっては特別な日です。私は高月観音まつりに初めて訪れた時、たくさんの素敵な観音像にお会いできて感動しましたが、その中でも特に冷水寺が印象に残りました。それは観音像も素晴らしかったですが、説明してくれた方の観音像に対する思いが伝わってきたからです。説明の最後に聞いた言葉
「あの賤ヶ岳の合戦で焼き討ちに遭った観音像を 鞘仏までつくって今日まで護ってきた先人の魂、真心を体感してください」
は今でも強く心に残っています。
その冷水寺で説明をしてくれていた人が今回渡岸寺観音堂で説明をしてくれた下村さんです。実は前回渡岸寺観音堂を訪れた時も下村さんが説明をしてくれました。ですので、今回も下村さんの説明を聞きたいなと思っており、収蔵庫に入った時、下村さんの姿を見つけ、嬉しくなったのでした。
湖北は観音の里として知られています。それはもちろん、素晴らしい観音像が多数残されているからですが、観音像を現在まで大切に守ってきた素晴らしい人達がいらっしゃることも忘れてはいけません。
湖北魅力は、観音様との出会い、そして、そのお像を大切に守ってきた人との出会い。その二つが実現できた今回の渡岸寺観音堂訪問は印象深いものでした。
訪問日:平成23年10月7日
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