月刊致知10月号に掲載されていた越智直正さんと北山顕一さんの対談「古典が教える修養の道」より。

こども論語塾をやっていますが、一つ驚いた出来事がありました。東洋古典は「考」がベースにありますので、子供たちにその話をしようと思い、「みんなが知っている“こう”と読む漢字を黒板に書いてみよう」と言いました。いろいろ書くのですが、「考」という字は出てこなかった。それで小学生の教科書を調べて、驚きました。六年生になって初めて「考」の字を習うんです。

そこで私は子供たちに「考」の文字の成り立ちから説明するんです。「考」は「老」と「子」が合体してできた字で、最初はお父さんお母さんが子供のおしめを替え、お乳をあげて育てた。それで両親が年を取ったら、今度は子供が親を背負う。その姿を表したのが「考」ですよと言うと、一年生でもちゃんと分かってくれる。

そして「考経」の一文を完璧に暗誦してもらいます。
(文の訳)父母から恵まれた身体を傷つけないことが孝行の第一歩である。一身の独立を保持し、人としての道を行い、名を後の世まで残し、父母の名を世に顕(あらわ)す。これが親孝行の究極の姿である。
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