密教では、人々の願いに応じて、様々な法要が行われました。そして、多種多様の仏の姿や法要を整理するために製作されたのが図像集と呼ばれる「ほとけのずかん」です。称名寺は鎌倉幕府の祈祷寺として、たくさんの図録を集め、現在に残っています。それらの図像集が今回の企画展で展示されています。
入ると、まず、阿弥陀三尊立像が展示されていました。この展示は図像集とは関係なく、修理が完成したので、特別の公開されています。三尊は来迎のお姿で、観音、勢至菩薩は前かがみで、左足を少し前に出しています。中尊の阿弥陀如来立像は江戸時代の作だそうですが、脇侍の観音、勢至菩薩は鎌倉時代の作で、良い像でした。
以下は展示解説で印象に残った内容を紹介します。
・手が六本の如意輪観音像はそれぞれの手が六道のものを救済する意味があるそうです。
・二本の手の弁才天は知恵、弁舌、音楽などの祈願、八本の手の弁才天は勝軍の祈願に使われたそうです。
・延命普賢菩薩は天台宗は手が二本、真言宗は手が八本の像を使ったそうです。
・仏眼は如来の目を尊格化したもので、源義経の捜索のための修法の本尊だったそうです。
・地蔵菩薩は極楽往生、滅罪、土地の豊穣、家宅永安を祈る修法に使われたそうです。
今回の展示はパッと見ただけでは分からない部分が多いので、学芸員の方の解説を聞きながら、鑑賞できる機会があればいいなと思いました。

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