運とは天から授かるもので、縁は自分からつくるものだ。煎じ詰めれば所詮、人生は誰に会ったか、誰と会えたかで決まってしまうと言っても過言ではない。
私が茂登山家の商人の子として生まれたというのも運。戦争へ行った先で天津の街を見、ヨーロッパの文化に初めて触れられたのも運。
戦地で、いつ死んでもおかしくない状態に陥ったこともあったが、奇跡的に立ち直り、再び野戦に戻っていった。これもまた運の一つ。復員した時に父が焼け野原の東京の有楽町駅前で店を続けていてくれていたことは最大の運だが、しかもそれが有楽町の当時アメリカ村といわれた場所で外国人と直に会うチャンスがあったということも。
一方、報道写真家の名取洋之助さんとお会いすることができ、これは大変な人だと思い、名取さんを尊敬し、この人から何でも得ようと思って、いろんなことを一生懸命に勉強した。これは自分からつくった縁。しかし、名取さんに会えたこと自体、有楽町にいたからという運なのかもしれない。
つまり、運と縁とは、表裏一体のものであると思う。天から授かった運をいかに掴むか、それをどれだけ感謝していただくか。そしてその運を生かすために、縁をどのように自らつくっていくかが人生を決める手であると思う。
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