東大寺を拝観した後、奈良国立博物館に行きました。奈良博では現在、特別展「天竺へ~三蔵法師3万キロの旅」が開催されています。

以下、印象に残った展示を紹介します。

・玄奘三蔵坐像

玄奘三蔵坐像は右手の五本の指のうち、親指、人差し指、中指を立てており、残りの二本の指は閉じていました。第1から3指を立てるのが梵篋(お経が入っている箱)を左手に持った三蔵法師像の特徴だそうです。確かに別の画でも指を三本立てていました。

また図録に書いてあったのですが、治承の乱で焼失した興福寺・北円堂に安置する新たな仏像の造像の経緯を示す「猪隈関白記」には、現在、無著・世親像と呼ばれている像を、世親・玄奘と示している記述があるそうです。そして、現在の世親像の右手は第4と5指を屈する印相で、これは上述した玄奘三蔵の印相と酷似しているとのことで、とても興味深いなと思いました。

・玄奘三蔵絵

展示の第一章は「玄奘三蔵絵を旅する」ということで、玄奘三蔵絵の展示がメインでした。玄奘三蔵絵とは、出家から天竺求法の旅、仏典の漢訳、入滅に至るまでの主要な事績を十二巻の長大な物語として記したものです。

玄奘三蔵絵を見ながら、三蔵法師の名前は西遊記でよく知られていますが、実際の行いについては知らないことが多いと思いました。

玄奘三蔵絵は十四世紀前半に活躍した宮廷絵師・高階隆兼一門によって描かれたと考えられるそうですが、十四世紀に描かれたとは思えないぐらいに綺麗に残っています。これは、玄奘三蔵絵がとても大切に扱われてきたという証拠ですね。

・大般若経(魚養経)

藤田美術館、薬師寺などが所有する奈良時代の大般若経です。大般若経は全六百巻で、藤田美術館にはその中、三百八十七巻、薬師寺には約四十巻あります。魚養経と呼ばれるのは、朝野魚養が書写したという伝承があるからです。ちなみに十輪院の開基は朝野魚養と言われています。

奈良時代の大般若経、やはり歴史を感じます。どれほど多くの人がこの経を読んだのでしょうか。

・十六善神像

十六善神像には一番下に玄奘三蔵と深沙大将が描かれていることが多いですが、描かれるようになったのは鎌倉時代以降だそうです。

以前はあまり十六善神像に興味がなかったですが、最近は興味が出てきました。やはり、意味がわかってくると興味が出てきますね。仏画にはそれぞれ意味があるので、きちんと意味を理解して、拝観したいものです。

・深沙大将像

金剛院の深沙大将です。金剛院に訪れた時、奈良国立博物館で展示されると聞いていましたので、「ここに展示されていましたか」という感じでした。お寺とは違い、360度から拝観することができましたが、これが博物館での展示の良いところですね。

ところで、なぜ深沙大将像が展示されているかというと、西遊記の沙悟浄のモデルが深沙大将と言われているからです。

・五天竺図

縦176センチの大きな画で、天竺、中国、日本が描かれています。三蔵法師が辿った道が分り易いように展示されており、興味深く見ていました。


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